第17話 珍客
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「むむっ!もうそのような刻限か!些か長居し過ぎてしまったようだ、俺はこれで失礼する!」
「ん?今から帰るのか?屋敷に帰る頃には夜になっちまうぜ?」
「そうだね、杏寿郎くん、屋敷には私から連絡を入れておくから夕餉を食べていくといい」
「はあ、しかし・・・」
「今から連絡用の鳩を飛ばせば、そんなに時間はかからずに伝えられるだろうよ。
それとも家の者には早めに帰るって伝えてあるのか?」
「いや、そのようなことはない。むしろ『話が長引くかもしれないから夕餉も外で済ませて来る』と・・・」
「ならいいじゃねーか、ここで食っていけよ」
という感じで霧香が夕餉の支度をしているうちに杏寿郎は海野家で夕餉を御馳走になるという方向で話が決定したようだ。
そして話は冒頭に戻る。
椛が御膳を杏寿郎の前に持っていくと彼の目がキラキラと輝いていた。
「あら、何か嬉しいことでもありましたか?」
椛が気づいてお味噌汁をよそいながら聞いてくる。
「うむ、俺の好物が献立に入っている!」
「まあ、それは良かった。たくさん召し上がって下さいね」
椛に促され、箸を持って『いただきます』をすると茶碗に盛られたさつま芋ご飯を頬張りだした。
「うまい!」
「っ!?」
「「「・・・・・」」」
一口めから声がでかい。
口に含み、噛み締めながら顔を赤く染めて・・・・そりゃあ、もの凄く嬉しそうな顔の煉獄杏寿郎。
「これはうまい!」
ハグハグハグ・・・もっもっもっ・・・
一心不乱に食べてる。
「おかわり!」
「はい」
お茶碗を受け取る椛。
「さつま芋ご飯が好きなのかい?」
「うむ!さつま芋は俺の好物だ!米で炊いても、みそ汁に入れても、煮ても焼いても美味い!」
そこへ二杯目がきたのでまたモリモリ食べる。
「そうかい、我が家のさつま芋が口にあって何よりだ」
「うむ!実に美味い!」
その後もおかわりを続ける杏寿郎。
「よく食うな・・・」
海野家では多く食べる那津蒔も驚いている。
「うむ!何杯でも食べれるぞ!」
〈さっきカステラ食べたのに・・・どこに入るんだろう〉
食事は静かに食べたい霧香は少し『鬱陶しいな~』と思っていたが不意に声をかけられる。
「海野少女!」
「(ビクッ!?)」
「このさつま芋はどこのものだ?」
「我が家の畑のものです・・・」
「よもや!程よい甘さだ!硬さもちょうど良い!」
そう言ってまたさつま芋ご飯を頬張る杏寿郎。
「何杯目ですか・・・?」
「む?わからん!」
「・・・・」
「五杯目よ」
椛の言葉に箸を止める霧香。
「むむっ!そんなに食べていたのか・・・!」
「ええ、おかずもみそ汁も放置せず、いい具合に食べてますよ」
『フフフ』と笑いながら答える椛、いつも那津蒔のおかわりを見ているからだろう。対応が慣れている。
「よかったわね、霧香。あなたの作ったご飯が気に入られて」
「何!」
「ブッ・・・」
椛が今日の夕餉を作った人物をあっさり白状したので杏寿郎が食い気味に霧香を見て、霧香自身はみそ汁で咽た。
「今日の夕餉は海野少女が作ったのか!」
「・・・・ええ、まあ」
咳払いをしながら手ぬぐいで口元を拭いている霧香。
「食事は私と霧香が交代しながら作っているんです、花嫁修業の一環として」
「まあ、女だからな~。これでも」
「那津蒔兄さん・・・(怒)」
漬物をポリポリ食べている那津蒔を睨む霧香。
「だが上達したね、霧香。これなら嫁に行っても大丈夫だと思うよ」
晴哉も笑って褒める。
「いいえ、私はまだ未熟者なので」
「そんなことないわよ、あなたももう十七なんだから」
「そうそう、行き遅れになる前にイイ男を見つけろよ」
既婚者(一人は既婚歴あり)に言われて黙ってしまう霧香。
「・・・・・」
そんな霧香を見て杏寿郎は考えていた。
「どうかしたのかい?杏寿郎くん」
晴哉に声をかけられ我に返る杏寿郎。
「いいや、何でもない」
そう言って残っている夕餉を平らげた。