第17話 珍客
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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コポコポコポ・・・
「どうぞ」
「うむ、いただこう!」
その後、式神にお茶汲一式と小皿を持って来てもらった霧香はさっそくカステラを切り分け、茶を淹れ、杏寿郎の前に置いた。
「いただきます」
カステラを切り分けて口に含むとほんのりと甘さが広がった。
「美味しいです」
「そうか!それは良かった!」
杏寿郎も満足そうに食べている。
「それで煉獄さん、私と何のお話をしようと思ったんですか?」
「鬼のことについて話してみたいと思った」
「鬼・・・ですか?」
「うむ、俺は昨日の君の言葉が忘れられなかった」
――『喰われた人は戻らない』と言いましたね?だったら『喰い殺したい』くらいその人を追いつめたのは誰ですか?
私たち人間です、鬼が汚いなら私たちも汚い・・・私たちだって鬼になり得る立場です、それを忘れてはいけない――
「あの言葉には臨場感があった・・・俺は、喰い殺された人の思いは汲み取っても相手の鬼の気持ちを汲み取ることはしたことがなかった。
情けをかければ斬れなくなるからだ、しかし君は鬼に哀れみを持っても斬れる。
君のその強さはどこから来るのか、少し興味があった」
真剣な顔で話す杏寿郎に苦笑を漏らす霧香。
「『強い』か・・・それは違います」
「ん?どういうことだ?」
「私は『泣き虫』で『不器用』なんです。
呼吸の訓練も十の歳に始めて最終選別を受けるまで七年もかかりました、それまでずっと時間をかけて技を体得してきました。
数ヶ月違いの姉弟子はどんどん先へ行くのに自分は肩を並べられずに後ろで追いかけるだけ・・・とうとう最後まで追い付けませんでした。
十七であれば通常、鬼殺隊に入隊し、経験を積んでいる頃です。でもそれすらも私にはできなかった・・・そこで一門の一部の者に『落ちこぼれ』と卑下されてきました。
だから分かるんです、陥れられた側の気持ちが・・・そして憎む気持ちが・・・」
霧香の言葉が少し強くなる。
「私の使役鬼の響凱も人間だった頃、友人に憎悪を抱くほど罵られたようです・・・。
五大呪術家の力もありますが、同じ状況を味わった身として視えてしまった。
私も彼のように一門の者を憎み、殺し、鬼になっていたかもしれない・・・そう思うと『鬼』の全て否定することができなくなりました」
「・・・・・・」
「笑ってくれても良いですよ」
「む?」
「『鬼を滅殺する立場の剣士が不甲斐ない』と・・・自分でわかっています、でも忘れたくないんです。彼らが『人間』であったことを」
杏寿郎から視線を逸らし、庭を見る霧香。
今日も空は青く晴れている。
「笑ったりなどしない」
「え?」
「俺は君の思いを笑ったりなどしない」
杏寿郎は茶を啜った。
「俺は君のように鬼の過去を視ることはできない、鬼は人に災いをもたらす存在であることも否定しない。
何より人間を守るために俺は鬼殺隊に入った、だから今後も躊躇なく鬼を斬るだろう」
「はい、わかっています」
「しかし、海野少女の『鬼を救うために刃を振るう』という意志は賞賛する」
「・・・・・」
「君は心が綺麗だな」
杏寿郎は大きな目を緩めて優しく微笑んだ。
「っ・・///それは、その・・・ありがとうございます・・・////」
何やら恥ずかしくなってきたので茶を啜って誤魔化した。
その後も海野家の陰陽術や鱗滝の元へ弟子入りした後の日々のことなど杏寿郎に聞かれたことに対して##NAME1##は答えられる範囲を包み隠さずに話した。
そして時間が経ち、夕餉を作る刻限になってしまったというわけだ。
「戻ったぞー・・・・って、まだ話してたのか?」
「あ、那津蒔兄さん」
仕事に行っていた晴哉と那津蒔も帰宅した。
「あんたかい?煉獄家の現炎柱さんは?」
「煉獄杏寿郎だ、よろしく頼む!」
勢い良く挨拶をする杏寿郎。
「お、おう・・・よろしくな。俺はこの家の次男で那津蒔だ」
「次兄です」
「うむ!目が似ているな!」
杏寿郎がまたじーっと霧香を見ている。
「おや、賑やかだと思えば・・・那津蒔、お前も来てたのかい」
「晴哉兄さん」
「ただいま、横を失礼するよ」
霧香の右横に座る晴哉、那津蒔は左横に座った。
「煉獄さん、長兄で当主の晴哉です」
「こうやって挨拶するのは初めてだね、波流門海野家当主の晴哉だ。妹が世話になったね」
「とんでもない、今回はこちらが学ぶべきことが多かった!海野少女と話ができてとても楽しかった!」
「そうかい、それはよかった」
海野家当主とその右腕も同じ場にいるのに全く動じないのは、さすが柱と言うべきか・・・と##NAME1##が考えていると杏寿郎を案内していた式神がやってきた。
どうやら夕餉の支度をするので手伝って欲しいとのことだ。