第16話 裁判
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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霧香は懐から円盤を取り出す。
「使役術・解!来い、響凱!」
観世水の紋が光り、響凱が現れる。
実際に見てみると大きな鬼だ、霧香や自分と比べても大きい。
「霧香、何なのだ?ここは・・・」
「響凱・・・良く聞いて、今からあなたの使役を解く」
「何?」
「ここは鬼殺隊の本部、今、柱とお館様が私たち一門の鬼の存在を見極めようとしている」
「本部・・・柱・・・」
響凱が視線を移すと柱の姿がある、そしてその近くに立っている男の姿が・・・。
「術が解かれればまだ数日しか獣肉を与えられていないあなたはすぐに人肉の匂いに反応することになる」
「!」
「でも向こう側は二人が結界を張っているから向かうことはできない。
つまり一番先に喰らうのはこの私・・・」
「ば、馬鹿を言うな・・・小生にお前を『喰え』というのか?」
「違うよ、耐えて欲しいの。
五大呪術家にいる鬼は『使役されていてもいなくても人に害を与えない』と証明したいの。
そのためには使役されている状態ではなく、解いた状態で向き合いたい」
響凱は恐怖を感じる、使役術は自分と霧香を繋いでいる糸だ。それを失くすということは自分はまた一人に戻ることになる。
そして最悪の場合、人間を貪り食っていたあの時に戻ってしまうのか・・・。
「響凱」
「っ・・・」
「私はあなたを信じるよ、あなたは心の強い人なんだから」
「・・・・・」
「後で鬼灯で一緒にご飯、食べようね」
霧香は胸の前で印を結ぶ。
〈使役・滅!破壊呪印・開!〉
印を切ると響凱の体から『観世水』の模様が消える、すると強烈な渇き響凱を襲う。
〈何だっ・・・これはっ!小生の体の奥から沸き起こってくるっ!!〉
畳には先ほど不死川が流した血が沁み込んでいる、その香りに響凱の『人食い鬼』としての自分が反応してしまっているのだ。
「グルルルル・・・ぐがあァァァっ!!」
血の匂いを避けられない、覚えている・・・人の血肉の触感、味、高揚感、口にしていたのは記憶にまだ残っている。
そして目の前には人間がいる、血の匂いに酔い始めている自分は今にでも喰いついてしまう。
「どうしたよ、鬼!使役術とやらは解かれたんだろ?だったら目の前にいるソイツに喰らい付け!お前の本能を呼び戻せよ!」
「煽る必要もないだろう、不死川・・・どうせすぐに喰らいつく、鬼とはそういうものだ。
何百年経とうとそれは変わらん」
「そ、そんな・・・ことは、ない・・・!」
すると伊黒に取り押さえられていた炭治郎が叫ぶ。
「響凱は、確かに今まで多くの人の命を奪って来た・・・だけど、霧香さんに出逢って変わったんだ!
自分が大切にしてきたものを受けとめてくれた霧香さんに心を開いたんだっ・・・!」
「うるさい、黙れ」
「がああっ!」
「伊黒さん、あまり乱暴にしないでください」
しのぶが諫めるが伊黒は力を緩めない。
「『心を開く』だと?むしろあいつ(霧香)の方が騙されたんじゃないのか?鬼は平気で人を騙す、欺くんだ」
「違うっ・・・二人の絆はそんな、仮初のものじゃないっ・・!」
「もうすぐわかるさ、あいつが自分の鬼に喰われて死に鬼が爆死するという結末でな」
〈そんなことはないっ!そんなことはないっ!だって響凱は霧香さんと心から信頼し合っているんだから!
俺のことだって守ってくれた、自分の大事な人が大切にしているものは一緒に守る優しい鬼だ!〉
「あああァァァ―――ッ!!はあ・・はあ・・・ぐっ、ううう・・・!!」
体から沸き起こる渇きと人肉を喰らい満足を得たい欲望と必死に闘っている響凱。
「響凱・・・」
「ふう・・・ううう・・・」
結界を張り続けている琴乃とアカリも自分の使役鬼も術を完全に解除をしてしまったらこんなに苦しませてしまうのかと想像しただけで心が痛む。
ギリギリギリ・・・・
耐えるため歯まで鳴らし、涎が伝う響凱。
「我慢も限界だろう!早く喰らい付けよ!その瞬間、お前は終わりだ!!」
不死川はウズウズしているようにも見える。
「ううう・・・ガアアアアァァッ!!」
一際大きい咆哮が屋敷に響くと肉を裂く音が聞こえた。
「!」
『!?』
「・・・・・」
「響凱っ・・・」
「じゅ、じゅる・・・ふ、ふうぅ――・・・くっ、うううう・・・」
響凱は自分の腕に牙を立てていた、霧香を傷つけまいと、喰わぬようにと、自身を抑えるために自身の腕に喰らいついた。