第1話 雪の剣士
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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そんなある日のことだった、姉の椛に縁談が持ち上がった。
お相手はさる華族の次男だ、姉に一目惚れをしたそうで『是非にと』ということだった。
霧香は少し心にモヤモヤするものがあった、何故なら姉が勇翔を好いていたことは知っていたからだ。同じく勇翔も・・・・。
あの二人は自分から見てもお互いを想いあっている、しかしこれが今の世の現実ということなのだろうか。
身分の差――・・・それはどうしても抗いようがないことだった。
そして才能もだ――・・・姉には先見の力が色濃く受け継がれていた、それは五大呪術家の者でなくても認めざるを得ないほどだ。
『聞いたかい?海野家の話』
『ああ、何でも末娘を弟子に出したとか・・・』
『でも満足に呼吸を会得できてないっていうじゃないか』
『そうみたいね、水の呼吸は呼吸の剣士の中でも会得できやすいと聞くのに・・・特に水を代々扱ってきた海野家の血を受け継ぐ娘ができないんじゃね・・・』
自分など敵わない・・・次期当主である長兄、側近候補の次兄、海野一族の能力を色濃く受け継いだ姉。
自分は何をやっているのだろう――・・・何をしても中途半端。
自分にもっと才能があったらここに行くように言われなかっただろうか?
いやもしかしたら『決断』のために自分は『ここ(鱗滝)』のところへやられたのかもしれない。
霧香は家から届いた文を見ながら涙を流した。
―――――――――――
しかしその数日後、また文が届いた。それは霧香にとってとても残酷な報せだった。
『勇翔が鬼になった』
なんと椛の結婚式に鬼が乱入してきたのだという。
おそらく人間の血の匂いに引かれたのだろう、鬼が現れた途端、会場は大混乱だ。父の連れてきた一族の鬼狩りは応戦した、その中に勇翔もいたのだ。
姉も花嫁衣裳の中に忍ばせていた懐刀で戦っていたが、本来妻を守るべき花婿は信じられない言葉を吐いた。
「ひ、ひいいィィ!!く、食うならこいつを食え!お、俺は死にたくないィィ!!」
なんと姉を鬼に差し出したのだ、そして助けを呼びながら襖へと一目散に駆けていく。
それに怒り狂った勇翔が『鬼神の如く』鬼を蹴散らした、愛する者を守りたいという気持ちがそうさせたのだろう。
勇翔は鬼の頸を斬り、体を回復できないほどバラバラに滅多切り、刀が間に合わなければ拳で頸を刎ね飛ばす。
体に喰いつかれても力づくで剥がしにかかり、頸を切り離す。
椛を背に庇いながら体中血みどろになりながら戦い続ける、どこからここまでの力が出せるのか――・・・人間より勝っていると思っている鬼たちが引き腰になるほど勇翔の戦いぶりは激しかったのだ。
「ほう――・・・これは面白い」
その時だ、あの男が現れたのは――・・・・逃げようとしていた同胞を自らの体に取り込みながら勇翔や椛の所になってくる、声の低い人物。