第16話 裁判
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「よく生きて帰ってきてくれたね、三人とも」
「ありがとうございます、お館様、そのお言葉恐悦至極でございます」
「見ての通り各々傷を負ってはいますが命にかかわるものではございません」
「何卒ご安心いただければと・・・」
「うん、それは何よりだね」
那田蜘蛛山から本部である産屋敷家に戻って来たのは夜が明けた少し後の事だった。
負傷した挙句、汚れた服で向かうのは少し躊躇われたが『至急』とのことだったので三人はそのまま向かうことにした。
「任務が終わって早々、呼び出してすまないが・・・今回、那田蜘蛛山で義勇と炭治郎、霧香の行ったことが問題となってね。
しのぶや義勇の話から炭治郎が鬼を連れていることと五大呪術家が戦闘に鬼を使っているという事が知られてしまった」
「そうですか・・・致し方のないことです。本来ならば『使役鬼』のことはお館様や一族以外の方には『式神』であり、鬼とは関りないことだと説明していたのですから・・・しかしこのことについては、隊士の方々が表立って動くのも時間の問題だったかもしれません」
「そうだね・・・」
輝哉はある決意を秘めた声音で話し出す。
「今日、炭治郎と義勇の裁判を行うんだ、柱を交えてね」
〈〈〈柱・・・〉〉〉
三人も『柱』の存在は知っている。
鬼殺隊の中でも最も実力の高い者たちの称号だ、現在は九名いると聞いている。
「そこで五大呪術家のことを話そうと思うんだ、私は禰豆子のことは鬼殺隊で受け入れようと思っている。
でもそれには柱を含めて、他の剣士たちにも認めてもらう必要がある。
そのために君たちや今、隊の中で頑張っている五大呪術家から託された子たちのことを明かそうと思っているんだよ」
「そのことは五家の当主たちは了承しているのですか?」
「抵抗があるのはもっともだよ、それについては以前から五家の長たちと話していてね。
昨夜、五家のまとめ役で琴乃の祖父でもある鉄斎殿から文をいただいたよ」
娘に視線を移す輝哉。
「では、文を読ませていただきます。
『産屋敷輝哉殿―――
兼ねてより我ら五大呪術家との協定の詳細を鬼殺隊の柱と剣士に打ち明ける議題を話し合って参ったが一昨日、皆の意見が一つになった故、御報せしたいと思う。
『協定の詳細を明かすか否か』の議題に対して我ら五家の答えは『是』である」
「「「!」」」
「『理由は三つ。
一つは我ら五大呪術家主体の鬼狩り部隊の能力に対して鬼殺隊から疑問視する情報があったこと。
鎌倉の時代より数百年が経過し、外部の者が我らの内情は知り得る事はなくなった。
今も知り得るのは産屋敷の代々の当主と一族のみ、そのため今後、我が一族から鬼狩りを輩出する際にその子らが少しでも動きやすいようにしてやりたいと思った故の判断だ。
次に霧香のことだ、数日前に任務中に鬼と使役の契約を結んだと報告があった。
我々は鬼を退治するためだけではなく、鬼に纏わる研究も代々続けて来た。
その成果は蝶屋敷へ支給している薬物や刀鍛冶の里での鍛造を見れば明らかだろう。
我らは鬼と人間、一族のために鬼を倒し、協力し続けて来た。おそらくそれは今後も続くだろう、今回のように任務の中、鬼と使役の契約を結ぶ機会もある。
現在、我が一門の中で動いてくれている鬼たちは先祖からの『宝』だと思っている、それ故、他の鬼とは違う事を鬼殺隊には理解していただきたい。
最後の理由だが、これが今回我々が『是』を出した一番の理由だ。
それは竈門炭治郎が鬼殺隊へ入隊し、妹の禰豆子が鬼となり、ともに行動していること。
一と二の理由だけならば『否』と答えたであろうが、陰陽師でもない普通の少年が鬼を連れ、鬼殺隊に入るとなれば周囲の目も変わってくることだろう。
『人を襲わない鬼がいるはずもない』という思い込みを覆す理由として我ら五大呪術家一門の鬼たちを見て欲しいと思いあってのこと。
今日に至るまで何度も『どちらが上の立場になることもない』と口にしてきたが、それには些かこの数百年で産屋敷家と我らの間に確実に見えていた真実が薄れ過ぎた。
今一度、初代の頃に戻していきたい。何卒お願い申し上げる』
以上が鉄斎殿の文でございます」
「お祖父様・・・」
琴乃が涙ぐんでいた。
「私もこの数百年で私たちの家と五大呪術家との距離が遠くなんてしまったことを感じていた。
良い関係を続けていきたくても見えないものがあってはそれもできない、だから今回、柱合会議の前の裁判で産屋敷家と五大呪術家との取り決めを話そうと決めたんだ。
三人とも協力してくれないかい?」
三人は顔を見合わせるが心は決まっていた、輝哉に向かって深々と礼をする。
「ありがとう、ただし君たちには辛い思いをする場になる・・・残酷なことをさせなければならなくなるかもしれない」
「私たちも覚悟はできております、ですが一つだけお伝えさせてください」
「何だい?」
「もし、柱の方々が私たちの鬼へ危害を加えた場合、私は鬼殺隊を辞めさせていただきます」
「え?」
「霧香!?」
「『辞める理由』を聞いてもいいかい?」
「『家族』を殺す者と志を共にすることはできません」
自分にとって一門の鬼たちは家は違えど『家族』なのだ海野家でも黒鉄家でも焔家でも・・・代々家を支え、守ってくれた『家族』だ。
その家族を殺すことは『人を喰う鬼』や鬼舞辻としていることと変わりはない。
「でしたら私も霧香と共に辞めさせていただきます」
「私もです」
「琴乃、アカリ・・・」
その思いは二人も同じだったようだ。