第15話 隊律違反
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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しかし、その後も両親への思い・・・『絆』の傷が癒えることはなかった。
毎日、父と母が恋しくて恋しくてたまらなかった・・・見せかけの家族を作っても、自分が一番強い。
『下弦の伍』の称号をもらってからはさらにそれが加速した、自分が強ければ強いほど集めた家族は『累を守れなくなる』、その頃には人間だったころの記憶さえ消えていた。
頸がない累の体は何かを求めるように霧香の元に近づいてくる。
「おいで・・・」
霧香が頸のない累の体を抱きしめた。
〈温かい・・・〉
体の奥から火が灯ったように温かく感じる、そしてとても安心する心地だ。
彼女の温もりはこんなにも体のそこに響くものなのか・・・。
『小生が『何を求めていたのか』を霧香は思い出させてくれたのだ!だから小生は鬼ではあるが霧香のためにともにあると誓ったのだ!』
響凱の言葉を思い出す累。
〈自分が何を求めていたか・・・〉
「あなたの大事な人に伝えたかったことを言って良いんだよ、もう我慢しなくて良い」
「つっ・・・」
頸だけの累の目から涙が流れた、後から後から流れ続けた。
〈思い出した・・・僕は、謝りたかった・・・あの時、自分がしてしまったことを許してほしい・・・。
でも山ほど人を殺した僕は地獄に行くよね・・・?二人と同じところには行けないよね・・・?〉
『そんなことはない、一緒に行くよ・・・地獄でも』
『どこまでも一緒よ、累』
「つっ!」
累の意識の中に両親が現れる。
二人とも自分に微笑みかけている、生前、自分が『病弱な子供だった頃』の二人が目の前にいる。
「父さん・・・母さん・・・」
累は霧香の胸から顔を上げた。
「さあ、伝えて――・・・あなたが心に持ち続けた言葉を」
霧香が涙を拭った累はもう鬼ではなかった、小さくて病弱だけど瞳の可愛らしい男の子だ。
「う・・・うあああァァ――・・・!!」
霧香の言葉に背中を押された累は両親の腕に飛び込んだ。
「ごめんなさいっ・・・ごめんなさいっ・・・僕が全部、悪かったよっ!」
累と両親は互いを抱きしめ合い、炎に消えていった。
累の亡骸が塵と化し終えたのと霧香が目を開くのは同時だった。
〈あの子も悲しい思いから鬼になった一人にすぎなかった、あと何人・・・悲しい心の闇から鬼となった人々を見ることになるのだろうか〉
累の着ていた着物を握り締める。
そこへ義勇がやってくる。
「人を喰った鬼に情けをかけるな、子供の姿をしていても関係ない・・・・、何十年と生きている醜い化け物だ」
義勇は冷たく言い放つ。
「そうですね、確かに鬼は『人を喰い、姿を変え何十年と生き続けている化け物』です。
でも、あなたはその鬼の根源が『何か』わかっていますか?」
「何だと?」
「鬼はどうして生まれるのか・・・考えたことがありますか?」
累の着物を抱えて立ち上がった霧香の目は少し怒りが滲んでいた。
「『人の思い』です、鬼は『人の負の感情が大きくなり生み出されたもの』です。
恐怖、強欲、淫欲、堕落、殺戮・・・生き続けている者も死せる者も『負の感情』の影響故に鬼になる」
「・・・・・」
「鬼は人が生み出した者です、だから『生み出した者』の責任として私は彼らを狩ります。
でも、鬼であることに苦しみ、這い出そうとしている者たちへは手を差し伸べます。
たとえそれが『戯言』や『甘い判断』だと罵られようと私は刃と心を持って彼らを救います」
そう言って霧香は炭治郎の元へ歩き出す。
義勇はそれを黙って見ていたが炭治郎と禰豆子の姿を見てハッとする。
二年前、自分が狩ろうとした鬼とその鬼を庇った少年・・・。
「あいつは、あの時の・・・」
その時、炭治郎たちの背後から誰かが近づいてくる。
蝶を舞わせ、こちらに向かってきた者を義勇は己の刀で制した。
「あら?どうして邪魔をするんですか?富岡さん」
蝶のようにヒラリと着地した少女・胡蝶しのぶはニッコリと義勇に問いかける。
手には刀が握られている。
「鬼とは仲良くできないと言っていたくせに・・・何なんでしょうか?」
邪魔されたのが気に入らなかったのか言葉の節々に怒りが滲んでいる。
「そんなだから・・・みんなに嫌われるんですよ?ウフフ・・・」
笑顔ではあるものの口調は辛辣である。