第15話 隊律違反
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「はあ・・・はあ・・・」
勝てた、累を倒した。
炭治郎はうつ伏せに倒れている、体を動かすのが辛い。
家に代々伝わる神楽で何故、技を出せたのはわからないが・・・でも、そのおかげで助かった。父に感謝する他ない。
だが想像以上に反動が強い、視界が狭まり、息も荒い、体の節々が痛む。
〈呼吸を・・・乱発し過ぎたせいか?〉
自分はこんなことをしている暇はない、禰豆子と霧香の元へ行かなければ・・・・。
周囲を見回すと響凱はバラバラにされた体が徐々に戻り始めているので問題はないだろう。
とにかく二人の元へと這っている時、急に背後で血の匂いが濃くなった。
それは累の血だ、まさか・・・頸は斬り落としたはずなのに。
「僕に勝ったと思ったの?可哀そうに哀れな妄想して幸せだった?」
首なしの体で糸を器用に操り、切断された首が吊っている。
その顔は怒りに満ちていた。
「僕は『自分の糸で自分の頸を切った』んだよ、お前に頸を斬られるより先にね」
累は頸を持って胴体にくっつける。
「もういい、お前も妹もその女も響凱も殺してやる・・・こんなに腹が立ったのは久しぶりだよ。
不快だ、本当に不快だ・・・前に同じくらい腹が立つことがあったけどずっと昔だよ。覚えてないほど・・・そもそも何でお前は燃えてないのかな?僕と僕の糸だけ燃えたよね?
妹の力なのか知らないが、苛々させてくれてありがとう。これで何の未練もなく、お前たちを刻めるよ」
累がまた指で糸を編み、形を作る。
しかし炭治郎は立ち上がる体力も精神力もない、必死に落ち着いて呼吸を整えようとするが腕が上がらない。
「炭治郎、もういいよ」
「!」
「・・・・」
声にハッとした炭治郎が見上げると霧香が立っていた、どうやら完全に累の糸から逃れたらしい。
「霧香・・・さ・・」
声も出すのも辛い。
「よく頑張ったね、もういいよ、休んでいて」
日輪刀を片手に累に向かって行く霧香。
「今度はお前が僕の相手?無駄なことだよ、僕には勝てない」
手に構成していた網を霧香に向ける。
「『血鬼術・殺目籠(あやめかご)』!」
赤黒い糸が霧香の周りを囲むがあっさりと切り崩してしまう。
「『下弦の鬼』だからって自分の力を過信し過ぎるのはいかがなものかと思うよ?」
「何だって・・・?」
「それに私は今、お前と同じように怒っている」
「『怒る』?何故?」
「『家族』を傷つけられたからだ」
霧香の目が冷たく光る。
「雪の呼吸・捌の型――『乱れ霰(みだれあられ)』!」
〈つっ!?速い!さっきとはまるで――・・・〉
累が驚愕したのもつかの間、気づいた時には自分の体が肩から下が全てバラバラに斬り刻まれていた。
「なっ・・・」
「お前は楽に地獄には送らない。
炭治郎、禰豆子ちゃん、響凱が受けた仕打ちを刻んでから頸を刎ねる」
そう言った霧香の顔はいつもの優しく、面倒見のいい顔ではなかった。
まるで氷のように冷たい。
〈クッソ・・・こいつも苛々する!僕の力の上をいくとでもいうのか!!〉
冷たい眼差しで自分を見下ろす霧香。
「お前も・・・目障りなんだよ!僕の方が強いんだ!お前なんかに負けるはずがない!」
「『家族の絆』の本当の意味を知らなかったお前に、もう勝算はない・・・お前は独りぼっちなんだから」
「!」
『独りぼっち』という言葉がひどく累の気持ちに突き刺さった。
「お前っ・・・許さないッ、許さない許さない許さないッ!!」
累の怒りが最高潮に達したようだ。
その時だ、誰かが霧香の目の前に降り立った。
「もうその辺りにしておけ、後は俺がやる」
黒髪に青い目、左右色違いの羽織を着た男は累を見据えて刀を抜いた。
「何だよ・・・次から次へと!」
糸で体を手繰り寄せ、戻した累は男の方を見やる。
〈どいつもコイツも僕の邪魔ばかりする、屑共め!!〉
累の手が変色すると糸が回転して凝縮されていく。
「『血鬼術・刻糸輪転(こくしりんてん)』!」
回転している糸は籠状になるとそのまま男に向かって飛んでいく。