第85話 因果
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「・・・・え?」
その頃、霧香は晴哉から事実を聞かされた。
「晴哉兄さん・・・今、何て・・・」
「父上と母上、そして椛は鬼舞辻無惨と戦いに行った。そしてもう戻らない」
霧香は頭が追いついていかない、昨日杏寿郎と夫婦になり、初夜を迎えた。そして翌日の夕暮れに兄から呼び出しを受けて居間に来た。
そこには父と母、姉の姿はなく、兄二人のみが座っていた。
「鬼舞辻と戦いにって・・・何故、私たち隊士に伝えていかないの?鬼舞辻を倒すのは私たちの悲願だったはずでしょ!?」
「お前たちが出るのはこの後だ」
「後?鬼舞辻を倒すのに先も後もない!」
「親父たちが先発隊として行ったんだよ、お前たちは・・・決戦の本隊だ」
その言葉に顔色が青くなる霧香、今回の場合『先発隊』ということはほぼ助かる見込みはない、晴哉が『戻らない』と言ったのは『三人はもう死ぬ』ということだ。
「な・・・んで・・・」
霧香は晴哉に掴みかかった。
「何で三人を行かせたの!兄さん!少数で鬼舞辻に敵わないことはわかっているのにどうして・・・!!」
「私たちの願いを叶えるためだ!」
晴哉が霧香の手首を握る。
「鬼舞辻無惨を倒すのは我らの悲願だ・・・父上も母上も椛もそれは同じだ、だからこそ行ったんだ!
私たちが勝てるように!あの男に勝利して悲願を為せるようにっ・・・!!」
「兄さん・・・」
「それに椛は音羽・・・いや、勇翔とのことがあるから・・・どうしても願いを叶えてやりたかった」
「じゃあ・・・音羽も・・・」
「ああ、一緒に行ったよ・・・」
「・・・・っ」
「まもなく牡丹が合図を持ってくる、それまでお前は待つんだ」
「・・・・嫌っ・・」
霧香は晴哉の手を振り払った。
「霧香!」
「嫌だ!!父さんも母さんも姉さんもっ・・・!!死にに行ったようなものなのに、それを黙って待てなんてっ・・・そんなの絶対に嫌っ!!」
「馬鹿野郎!!」
『パシン!』と平手が飛んだ。
「那津蒔兄さ・・・」
「親父はな、決戦が近付いて今回の使役鬼の解体が決まった時に真っ先に俺たちや他の四家の主の前で言ったんだよ、自分が先に出るってな。
今回の戦いは誰かが『先に出なければ終わらない戦い』だ、そしてその戦場は産屋敷家、お館様の所だ。
親父たちは今まで戦ってきた盟友と一緒に鬼舞辻に勝利する戦の火蓋を切りに行ってくれてんだ」
「お館様のお屋敷っ・・・」
「ああ、今日あたりヤツが輝哉殿を殺しに来るとお袋が占って視たそうだ」
「・・・・・」
「霧香、私も・・・那津蒔もっ・・・三人が『先に行く』と言った時、止めた。だが、父上は『もうこの世に大きな未練はない、自分の子らが幸せな家庭を築くのを見ることがきたのだから、でも無惨がいてはそれもいつかは破られる。この穏やかな日常を永遠のものにできる礎とあらば喜んで我が身がなろう』と言っていた。
『死ぬ時は畳の上で家族に見守られて逝きたい』と言っていたあの父上がだぞ・・・私はそれを聞いてやはり悔しいのだと思ったよ。
怨敵に一太刀も浴びせられずに死ぬのは無念だとな・・・母上もそうだ、椛も勇翔も・・・だから今生で心残りのない生き方をさせてやりたいと思った。
お前にも・・・分かってほしい、そして勝ってほしいんだ、頼むっ!」
晴哉が頭を畳に付けんばかりに下げてきた、その姿に霧香は何も言えなくなってしまった。
「兄貴も俺も悩んだんだ・・・俺からも頼む、耐えてくれ、牡丹が来るまで待ってくれ」
那津蒔も霧香の手首を握って離さなかった。