第85話 因果
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「当時は保元の乱と平治の乱間近だった、宮中も騒然としていた。
初代様たちも戦いに次ぐ戦い、いつ駆り出されるのかと不安の日々を過ごされていたことだろう。
そこで訪れてきてくれたのが輝哉殿の祖先、まだまだ人間不信だった初代様たちだが決め手になった出来事があった。
それは帝の支配からの解放、そして安部家との別離を果たさせてくれたことだ」
戦が立て続けに行られたとはいえ、産屋敷家は上手く動いてくれたと思う。そのおかげで自分たちの祖先は自由になれた。
「恩を受けたのであればそれを返すのは当然のことだ、何より我らの始祖がそうであったからな。
無惨、お前を倒すのは同じ異形の者としても見過ごせなかった。我らは人間に不信感はあれど憎んではいなかった。
お前と同義に扱われるのは不愉快であるということだ」
「・・・・フン、そんなものに絆されるとはな。
迷言もここに極まれりだな、反吐が出る。産屋敷の病は頭にまで回ると見える、そして長く連れ添ったお前たちにもうつったようだな。
そんな事柄には何の因果関係もなし。
何故なら――・・・・私には何の天罰も下っていない、何百何千という人間を殺しても私は許されている、この千年、神も仏も見たことがない」
瀬津寿の話を鼻で笑ってしまった無惨。
「ゴホッ・・・そうか、君はそのようにものを考えるんだね。
だが、私には・・・私の考え方がある。無惨・・・君の夢は何だい?
この千年間・・・君は一体・・・どんな夢を見ているのかな・・・」
「・・・・・・」
無惨の心はざわついていた、しかしそれは憎しみからではない。あれほど目障りだと思っていた産屋敷家の当主を目の前にしているにもかかわらずだ。
「「ひとつとや――・・・」」
「?」
見れば庭先で同じ顔をした女児が二人、紙風船を飛ばして遊んでいる。
彼女らは唄っていた。
ひとつとや 一夜、明(あ)くれば 賑やかで賑やかで お飾り立てたり松飾り松飾り
二つとや 二葉の松は 色ようて色ようて 三蓋松(さんがいまつ)は上総山上総山
「当てようか、無惨・・・君が何を考えているか。
私には君の心がわかるよ・・・君は『永遠』を夢見ている、『不滅』を夢見ている」
「・・・・・その通りだ、そしてそれは間もなく叶う。禰豆子を手に入れさえすれば」
「君の夢は叶わないよ・・・無惨」
「禰豆子の隠し場所に随分と自信があるようだな、しかしお前と違い、私にはたっぷり時間がある」
「いいや・・・君は思い違いをしている」
「何だと?」
輝哉の言葉に眉間の皺が濃くなった無惨。
「そうだな」
「ええ」
「千年生きても所詮は『子供』と変わらぬということじゃの」
瀬津寿も安岐も鉄斎も呆れている。
「私たちは『永遠』とは何か・・・『不滅』とは何か・・・それを知っている。
永遠というのは『人の想い』だよ、人の心、想いこそが『永遠であり不滅』だ」
輝哉が弱弱しくも自分の胸に手を当てて言葉を無惨に放った。