第85話 因果
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「身の程知れ」
「「!?」」
「陰陽血鬼術・・・」
音羽の体が赤くなる。
―― 血染めの赤備え(ちぞめのあかぞなえ) ――
「椛様に害を為す者、我が一門に害を与えようとするものは全てこの手で排除する」
腰の刀を抜く。
「!?」
「え・・・?」
「『紅刃(こうじん)』」
鬼二体の頸は一瞬の間に斬り落とされた。
「・・・・・・」
無惨の表情は冷めたものだった。
「自分の配下がやられても涼し気か、やはりお前はそういう男か」
「私の知ったことではない、負けた者はそれだけのことだ、その程度ということだ。
だが、お前たちの実力には少し驚いている。
実戦を離れて何十年になるかは知らないが、よくもまあここまで戦えたものだ。それに引き換え・・・」
無惨は輝哉を見る。
「お前には心底興醒めだ、産屋敷。
身の程も弁えず、千年にも渡り、私の邪魔ばかりをしてきた一族の長がこのようなザマで・・・醜い、何とも醜い。お前からは既に屍の匂いがするぞ、産屋敷」
「そうだろうね・・・私は・・・半年も前には医者からも・・・数日で死ぬと言われていた。
それでもまだ・・・私は生きている、医者も、言葉を失っていたよ。
だがね、それもひとえに・・・君を倒したいという一心ゆえだ」
包帯が緩み、輝哉の目が視える。
眼からは血涙が出ている、顔色も以前の美しいものではない。赤黒くなってしまっている。
「その儚い夢も今宵潰えたな、お前はこれから私が殺す」
「まあ待て、無惨」
「・・・・・」
瀬津寿の言葉に眉間に少し皺を寄せる無惨。
「何のために私たちがここに来たと思っている」
「私に殺されに来たのではないのか?」
「流れによってはそうとも言われてしまうかもしれん、だが我らは輝哉殿の最後の願いを叶えに来たのだ。お前に邪魔されたくないのでな」
「・・・・・」
「お前が今宵来ることは分かっていた、私たちにも輝哉殿にもな。ならばそう急ぐこともあるまい、どうせ屍になるのだ、戯言だと思って聞いてやってはどうだ?」
「戯言・・・そうだね、君にとって・・・私のいうことは戯言かもしれない。
でもね、無惨・・・君は知らないかもしれないけれど、私と君は同じ血筋なんだよ・・・君が生まれたのは千年以上も前のことだろうから・・・私と君の血はもう近くはないけれど」
輝哉はあまねの手を借りて起き上がった。
「君のような怪物を一族から出してしまった・・・そのせいで私たち一族は呪われた・・・。
生まれてくる子供たちは皆、病弱ですぐに死んでしまう。
一族がいよいよ絶えかけた時、神主から助言を受けた・・・。
『同じ血筋から鬼を出している・・・その者を倒すために心血を注ぎなさい』とね・・・そうすれば一族は絶えない。
代々神職の一族から妻をもらい・・・子供は死にづらくなった、それでも我が一族は誰も三十年と生きられない。
さらに私たちには君に対抗しうるだけの戦力を持ってはいなかった・・・だから・・・」
輝哉は鉄斎や瀬津寿たちを見た。
「輝哉殿の先祖は初代様方にお会いになった、そして我らは協力関係になった」
「よくまあ・・・そんな弱者に協力する気になったものだな、貴様らの初代も馬鹿ということか?」
「いいや、むしろ逆だ。初代様は賢かったよ」
千年前、安部家では清明の正室の子供たちと初代たちの二派に分かれ、正室の妖たちを快く思わない子らによって初代たちは政治の都合のいい手足になっていた。
それ故に初代たちは人間を信用しなくなっていた、自分の父である清明と清明の実子で陰陽師となった吉平と吉昌以外は・・・。
吉平と吉昌は異母弟になるのだが初代たちは半分は妖で寿命が違う、彼らも先に逝ってしまった。
その後だった、内密に調べた産屋敷家の祖先が初代たちの元を訪れたのは――・・・。