第85話 因果
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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そしてさらに逆撫でするのは海野家だ、当主の瀬津寿、妻の安岐。
三百年前に自分を屠(ほふ)る寸前まで追い込んだあの男女、縁壱と夜霧に似ている。そしてその娘の椛――・・・彼女もまた二人の遺伝子を継いでいる証で血の匂いがそっくりだ。
〈やはりあの娘・・・海野直系の娘だったか・・・〉
無惨はいつかの夕暮れ時の霧香の姿を思い出す、彼女を見た時、自分の体の奥底にある何かが大きく反応した。
それは『恐怖』と『怒り』だ。
かつて病魔に負けることを恐れた、治すために幾人もの医者に診せた、でも効果は得られず、最後の望みとある医者に自分の体を任せることにした。結果は医者自身は自分が殺してしまったが薬の効果はあった。
『死なない』、『もう病を恐れることはない』・・・
それが自分にとってどれほど感極まったことか、そしてあの医者はそれ以上のものを自分の体に残した。
不老不死――、衰えることもなく若いまま、人の寿命の年月を越えても生き続けられる。
この体を無限に・・・・自分という存在を無限に保つことができるならば、どんな犠牲を払っても惜しくはなかった。
無惨はそう考えて戦国時代に至るまでの五百年以上の月日を過ごしてきた。
だが、それを邪魔する者が現れた。
縁壱と夜霧だ、自分を滅する力を持つ者たち――・・・彼らの力は本当に恐ろしかった、だがそれ以上に憎かった。
ようやく手に入れた力を『人間』に奪われるのか・・・自分が捨てた『人間』という弱い生き物に・・・。
「黒鉄一族の長か・・・千年前には散々邪魔をされたが、今は老いぼれた爺か」
「フン、千年前から変わらぬ『未熟なクソガキ』が何をぬかすか」
血は少し薄まって入るものの初代と同じ言い回しをする爺だと無惨は思った、やはり『血』というのはそうそう変わらぬらしい。
「海野家・・・私にとって至極邪魔な存在だった。
そして――・・・まさかあの男、継国縁壱の子孫がいたとはな。よく隠し通せたものだな」
「冬寿様と我が家の使役鬼の功績だ、あの方たちがいなければ我らはいない。あの世に逝ったならばならば十分に礼をしなくてはならぬと思っている」
初めて見る鬼舞辻無惨。
瀬津寿も安岐も――・・・体の内側から底知れない怒りを感じた。
我欲のために数多の命を弄び、奪い、喰らった、鬼の元凶――・・・かつての夜霧と同じだ。
「お前とは二度目だな、海野家の娘。あの時はこの姿はしていなかったがな」
「っ・・・」
八年前のあの日、望まぬものだったとはいえ自分の祝言に入り込み、襲撃してきた男。そして自分の真に愛する人を鬼にした男。
「鬼舞辻無惨っ・・・あなたのことをあの日から忘れることはありませんでした、あの人を・・・勇翔さんを殺したあなたを私は許しません!」
「殺した?何を言っている?あの男は生きているだろう」
「戯言をぬかすな、鬼舞辻」
そこへ音羽が現れた。