第85話 因果
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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それは三日月が綺麗に見える夜だった。
「・・・・・」
輝哉はふと目が覚めた、近くに・・・妻のあまね以外に誰かがいる。
彼は微笑んでその人々に話しかけた。
「やあ・・・来てくれたのかい?」
彼らは輝哉に言葉に頷く。
「思えば長かったね――・・・君たちに出会って」
千年だ、千年・・・彼らとは盟友でいたのだ。
「感謝するよ――・・・こんな『不甲斐ない私たち』の力になってくれて・・・」
「何を言うておる」
初老の男性・鉄斎がやや叱るように言った。
「感謝はお互い様じゃ、儂らもお主たちには感謝している。
我々の祖先を救ってくれたのは他ならぬ、産屋敷家じゃ・・・お主らがおらねばこの時代まで子孫は続かなかったであろう」
「鉄斎殿・・・」
「それに約定が変わってもお主の祖先たちは変わらぬ待遇をしてくれた、そしてお主自身は我が孫や瀬津寿と安岐の子らたちに多くの礼を返してくれた」
「礼だとは思っていないよ・・・私は、自身の祖先の返せなかった恩を君たちに渡しているだけだ・・・」
「強情じゃの」
「ふふふ・・・」
今の輝哉の姿を見て鉄斎はもう長くないことを悟った、それは同じく産屋敷家を訪れた瀬津寿と安岐、椛も同じことだ。そして襖の外で待機していた音羽にも――・・・。
「輝哉殿」
「その声は・・・瀬津寿殿だね」
「ああ、本日は報告をしに来た。
私の末娘の霧香と煉獄杏寿郎殿が昨日、夫婦になった」
「まあ・・・」
あまねの嬉しそうだ。
「そうかい・・・ようやく慣れたんだね、私たちの可愛い子供たちが・・・夫婦に。
うん、実におめでたいことだ・・・私はこんな有様で彼らのめでたい姿は見られないけれど・・・ありがとう、瀬津寿殿」
「いいや、杏寿郎殿に引き合わせてくれたのはそなただ。あの時は事情が事情だったが――・・・結果的にあの子(霧香)は生涯の良き伴侶に恵まれた」
霧香と杏寿郎が結ばれた、婚約の話は杏寿郎本人から聞いていた輝哉。式にはきちんとお祝いを贈ってやりたかったが生憎、この容態では難しいだろう。
「本日、この場に私たちが来たのはそなたに我ら一族と千年もの長きにわたって盟友で居てくれたことに感謝の意を伝えることと、敬意を表するためだ。
そして、ヤツがここに来ることがわかっていたからだ――・・・そうだろう、鬼舞辻よ」
庭に向かって話しかけると一人の男がやってくる。
白いスーツに黒い外套を羽織った赤い瞳の男、そう・・・宿敵・鬼舞辻無惨だ。
「・・・・初めましてだね、鬼舞辻・・・無惨・・・」
「・・・・何とも醜悪な姿だな、産屋敷」
初対面の二人、しかし驚きはなかった。おそらく輝哉自身にもわかっていたのだろう。
「ついに・・・私の元へ来た・・・今、目の前に・・・」
少し話し過ぎて『ヒューヒュー』と息をしている輝哉。
「我が一族が・・・鬼殺隊が・・・千年、追い続けた・・・鬼・・・」
輝哉は傍らにいるあまねに彼はどんな姿をしているのかを問う、それに対して彼女は『二十代半ばから後半の男性で瞳は紅梅色、そして瞳孔が猫のように縦長だ』と伝えた。
「そうか・・・来るとは思っていたよ。
君は私に・・・産屋敷一族にひどく腹を立てていただろうから・・・私だけは君が・・・君自身が殺しに来ると思っていた・・・」
輝哉にそう言われたものの無惨は気にしていないようだ、そして傍らにいる鉄斎、瀬津寿、安岐、椛を見た。
鉄斎は黒鉄一族で在ることは分かった、千年前に初代の黒鉄当主に会ったことがある。
彼は『剛力』の持ち主で自分が生み出してきた同胞を尽く捻り潰されてきた、その初代が亡くなってから同胞の数は増えたものの最初は自分以外の鬼を作るのも一苦労だったのだ。
思い出しただけでも少しずつ無惨の怒りの神経がする減らされていく。