第9話 元十二鬼月
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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〈だんだんと人間を喰えなくなった・・・、もちろん継続して喰わねばならぬのだが、以前ほどの量を受け付けなくなっていた―――・・・〉
そして、小生は―――・・・
「響凱」
「つっ!?」
「もう喰えないのか?その程度か?」
「いいえ・・・いいえ・・・まだっ!」
鬼は人間を喰えば喰うほど強くなる。
〈そして素質を認められればあの方に――、鬼舞辻様に血を分けて戴けた。
あの御方の『血の力』は凄まじかった、小生は以前とは比べものにならぬ度合いで強くなり、十二鬼月として認められ、これからも人を貪り喰い、尚一層強くなれると信じていた―――・・・信じていた、だがっ――・・・!〉
ビシッ!
「ギャッ!・・・・!!」
「もういい・・・数字は剥奪する、それがお前の限界なのだ」
――――――――――――――――
「波流門結界――・・・『無攻鏡』」
札に息を吹きかけ、散らすと生きているように宙を舞い、霧香と鼓鬼の周囲を膜が包みこもうとする。
「な、何だ!?これは!貴様何をするつもりだっ!」
「あなたと話がしたい」
「つっ!小生と話だと・・・?」
「そう」
「・・・!ふざけるな!!小生は一刻も早く稀血の小僧を喰い、十二鬼月に返り咲かなければならないのだ!」
ポンッ!
ギャンッ!
ポポンッ!
ギャンッ!
「ふざけてなんかいない、こっちは本気だよ」
「!」
いつの間にか背後に回られている。
「結界完了」
「!?」
スッ――・・ストン
響凱の目の前に着地した霧香。
「な、何だこの膜は!」
響凱は鼓を叩いたが音が響かない。
「この中では君の血鬼術は使えない」
「何だと・・・?」
「この結界は『中にいる者と外にいる者を遮断するための』結界なの、本当は術師が中に入ったらすぐ倒されちゃうけど今はそうはならない、君の背中に術を抑える梵字を書いておいた」
「何!」
「これでゆっくり話ができるね、まずは名前を教えて」
「・・・響凱(きょうがい)」
「響凱、うん、いい名前だね」
「・・・・」
響凱はこの娘が理解できなかった、鬼である自分と何を話そうというのだ?自分を殺そうとした相手と何を・・・。
「怯えているでしょ・・・」
「!?」
『怯えている』という言葉に動揺を隠しきれない響凱。
「私はね、鬼殺隊でもあるけど五大呪術家・波流門海野家の者でもある。
だから、鬼の事は他の人よりは詳しいつもりだよ・・・鬼は強い、人間を喰うことでさらに強化し、長い年月を生き永らえる。
でも、それはあなたにとって本当に『幸福』?」
「どういう・・・意味だ・・・?」
「私には『見捨てられるのが怖い』、『無になるのが嫌だ』、『自分の存在が忘れられるのが悲しい』という声が鼓の音を通して聞こえた、だから頸を取るべきか悩んでいる」
「・・・・・」
響凱は霧香の言葉に戸惑い後退する、すると先ほどの自分の攻撃で吹き飛んだのだろう、足下には散らばった数枚の原稿がある。
「つっ・・・!!」
人間だった頃の記憶が蘇る。
『諦めなよ、つまらないよ――・・君の書き物は全てにおいてゴミのようだ!
『美しさ』も『儚さ』も『凄み』もない、もう書くのは止めにしたらどうだい?
紙と万年筆の無駄だよ、最近は昼間、外に出て来ないし、そんなふうだから君は『つまらない』のさ、趣味の鼓でも叩いていればいい・・・だがそれも人に教えられるほどのものではないがね』
「グルルルッ・・・」
頭を抑えている響凱。
「あなたは小説を書くのが好きなんだね」
足下に落ちている原稿を拾い上げる霧香。
「・・・・・・」
ゆっくり目を通している。
「戦記物だね」
「っ・・・」
「これは里見八犬伝を基盤にしたのかな?私も大好きな本だよ。
八人の選ばれし勇士たちが協力して悪しき者に立ち向かう」
「・・・・」
「順番はバラバラだけど、最初から読んでみたいな」
「っ・・・」
「そしてあなたの鼓の音はとても綺麗・・・」
〈読んでみたい・・・小生の書いた物を・・・?〉
「本当か・・・?小生の、書き物を・・・・、鼓も美しいと、言ったのか・・・?」
人間だった頃は多くの者に酷評された、自分の書き物も趣味の鼓・・・全て小生にとって大切なものだったのに、全てを否定された。