間章 それぞれの時間・悲鳴嶼行冥
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「お疲れ様でした」
柱稽古を終えた琴乃は行冥の屋敷に留まっていた。
「ああ、すまないな」
行冥は他の隊士の稽古も残っているため引き続き監督している、そんな彼の身の回りの世話を琴乃がすると言ったのでそれに甘えているのだ。
「しかし良かったのか?お前も黒鉄の家に戻る時間も必要では・・・」
「お気遣いありがとうございます。でも、ここに留まることは既に美鈴を通して伝えております」
稽古が終了した後、華陽隊の三人は一度解散した。各々の大切な人に会うために・・・。
「そうか」
「はい、それからこれを」
琴乃は一通の手紙を差し出した。
「これは?」
「産屋敷家より届いたものです、お館様の文言を奥方が代筆し、私に送られてきました」
「私が読んでも良いのか?」
「はい」
しかし行冥は盲目のため自分の鎹鴉の絶佳(ぜっか)を呼んだ。
「すまぬがお館様の文を読み上げてくれ」
絶佳は文に目を通して通る声で読み上げる。
「左ノ者達ヲ次ノ役職ニ任ズル!
マズ海野霧香、階級『戊(つちのえ)』ヲ無限列車ノ功績ト今回ノ刀鍛冶ノ里デ上弦ノ肆ヲ討チ取ッタ功績ニヨリ、以降『雪柱(ゆきばしら)』トスル!
次ニ黒鉄琴乃、階級『戊(つちのえ)』ヲ遊廓デノ上弦ノ陸ヲ討チ取リシ者、ソシテ刀鍛冶ノ里デノ功績ニヨリ、以降『鋼柱(はがねばしら)』トスル!
最後ニ焔アカリ、階級『戊(つちのえ)』ヲ同ジク上弦ノ陸ヲ討チ取ッタコトト刀鍛冶ノ里デノ功績ニヨリ、以降『光柱(ひかりばしら)』トスル!」
「なんと・・・」
手紙の内容を聞いて驚く行冥、天元や杏寿郎が柱の座を辞してから少し不安があったが華陽隊の三人が新たな柱として加わることになるとは・・・。
「この話は以前より出ていたのか?」
「はい、最初は階級を『甲(きのえ)』に上げるというものでしたが海野家の皆様との話を聞いた後、お館様があまね様に仰ったそうです。
『今、運命が動いているのは炭治郎や禰豆子の存在だけではない。華陽隊の三人も深く関わっているからだ』と・・・、そこでこの柱稽古を私達が成し遂げた後、今までの功績を総じて『柱』に昇格させるということにしたそうですわ」
「そうか、お前も私と同じく『柱』になったか」
「ええ、恥じぬように勤めますわ」
「だが柱の役目は重いぞ」
「はい、心得ています。でも・・・」
手紙を仕舞うとまっすぐ行冥を見る琴乃。
「私にとってお役目の重責は苦にはなりません、ようやくあなたと肩を並べることができたのですから・・・私は嬉しさしかありませんわ」
「琴乃・・・」
少しずつ距離を縮める二人。
「悲鳴嶼様、覚えていますか?」
「ん?」
「遊廓の任務であなたは私のもとへずっと通ってくださいました、あの時・・・黒鉄家からの預かりものだからとあなたは言っていましたが、私は――・・・」
行冥の手に自分の手を置き、肩に頭を寄せる。
「あの時から少しずつ、あなたのことを一人の殿方として・・・見ていたんですよ」
「つっ・・・!」
そう言うと行冥の腹から背中に両腕を絡め始めた。
「私のような怪力女を好いてくれる男はいないと思っていました・・・だって見た目は女でも手を握れば皆、怯えて逃げてしまうんですから。
でもあなたは全く逃げなかった、逃げるどころか笑いかけてくださいました。私にとってそれがどれほど嬉しかったか・・・」
ギュッと琴乃の腕に力が篭る。