第83話 最終稽古・悲鳴嶼行冥
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「・・・・・・」
「あ、起きたわね」
「・・・・アカリ・・」
本当に目が覚めたようだ、そして横にはアカリが座っている。
「あんた、滝行中にぶっ倒れたのよ、村田さんが引き上げてくれなかったら凍え死んでるところよ」
「そっか・・・・」
「あんた・・・休まずにここに来たの?」
「自分では休息を取っているつもりだったよ・・・」
それを聞くと『はあ』と盛大にため息をついたアカリ。
「あんたの『自分の感覚』はある意味当てにならないのよ、その証拠にあんた倒れてから三日間寝込んでたのよ」
「そんなに?じゃあそろそろ・・・」
「馬鹿!」
起き上がろうとすると『ペシンッ』と額を叩かれる。
「休まなかったからぶっ倒れたんでしょうが!本末転倒を繰り返すんじゃないわよ!」
「つっ・・・」
叩かれたところを擦っている霧香、そこで部屋の障子が開いた。
「あ、目ェ覚めたのか?」
「玄弥くん・・・?」
不死川玄弥だった、彼の手にはお膳がある。
「飯、食えそうか?」
「うん・・・ありがとう」
ゆっくり起き上がると玄弥の持って来てくれたお粥を食べ始める。
「はあ~~~っ・・・お腹に滲みる~~~っ」
三日ぶりの食事ともあり箸が進む。
「ゆっくり食えよ、お前ただでさえ無理してるんだし」
「え?」
「村田さんに聞いたんだけど、お前、二刻くらい滝に打たれてたんだってよ。あの人が他の隊士と入れ違いになった時にはもうお前、滝に打たれてたらしいから」
「そうなんだ、全然気が付かなかった・・・」
通常ならあの滝に打たれていたら水の勢いと寒さで時間など考えられないだろう、おそらく滝行に入った時から半分は意識が飛んでいたのかもしれない。それでも念仏と体を支えていられたのは彼女の一種の責任感からだろうか。
「でもまあ、目が覚めてよかったよ。悲鳴嶼さんもちょっと焦ってたから」
「え?悲鳴嶼様が?」
「というか最初に焦ってたのは琴乃さん。あの人、お前が倒れたって聞いて岩を押す修業ほっぽり出して駆けつけてきてさ。
自分も疲れてるだろうに昨日まで修業とお前の看病両方してたんだぜ」
「・・・・・・」
「夜もあんまし寝てなかったみたいだから悲鳴嶼さんが『アカリと交代しろ』って伝えて今は休んでるけど」
「そうか・・・ホントに悪い事しちゃった・・・」
「『悪い』と思ってるなら今後の修業で挽回しなさい、あんたがいないと私たちが困るんだから」
そう言うとすくっと立ち上がるアカリ、玄弥に後を任せて修業に戻って行った。
「アカリにも悪いことしたな・・・早く修業に戻れるようにしないとね」
「ああ、そうだな。この後、香炉家の人が来るからちゃんと診て貰えよ」
「うん、玄弥くんもごめんね」
「いや、俺はいいんだよ。刀鍛冶の里ではお前に世話になったし、お互い様だ」
そう言うと二ッと玄弥は笑った、その後、香炉家の医師の診察で修業に戻る許可が下りた霧香。
「なあ」
「ん?」
「お前、反復動作ってやったことあるか?」
「反復・・・あの集中力を高めるためにあらかじめ同じ動作をするってやつかな?」
「そうそう」
「あんまり意識したことないかな・・・」
「そっか、でもこの際だからやってみたらどうだ?また倒れたら困るだろ?
集中力を高めて意識を保ちながら修業を完遂させるっていうのもちゃんと訓練なんだし」
「うん、そうだね。玄弥くんは何かしてるの?」
「俺は念仏唱えてる、俺は呼吸が使えないけど反復動作はそれとは違うんだ。
俺や悲鳴嶼さんは怒りや痛みの記憶を思い出しながら念仏を唱えることで体に廻った力を維持してるんだ」
「へえ~・・・」
反復動作――・・・あまり聞き慣れない言葉だが、海野家でしていた訓練と通じるものがある。
玄弥の話によると『感覚を一気に開く技』だそうで、集中力を極限まで高めることができるそうだ。しかしその極限に達するための方法は人によってことなるという。
何はともあれ修業再開の許可が出たので悲鳴嶼に謝罪をしてから改めて戻った霧香だったが自分にとっての『集中力が高まる行動とは何なのか?』をずっと考えていた。