第83話 最終稽古・悲鳴嶼行冥
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ドドドドドドド・・・
「観自在菩薩行・・・深般若、波羅蜜多時照・・・見五蘊皆空度・・・」
一瞬気を飛ばしたものの、道着を着て滝行から稽古を開始した霧香。
ところがこの滝行、今の体にはとってもキツイ。勢い強く落ちてくる水を頭からかぶるため踏ん張っていなければ首が折れそうになる。
しかもものすごーく冷たいのだ、なので体が急激に冷めていく。
体温が尽く奪われていく、その中で一刻(約二時間)打たれ慣れなければならないのだ。
「故知般若波羅蜜多・・・是大神呪是大明呪・・・是無上呪是無等等呪能除・・・・一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多呪っ・・・」
体力が極限になりかけのまま稽古に突入した霧香はフラフラしていた、膝がもうガクガクなのだ。
「お、おい・・・・大丈夫か?」
同じく修業を受けていた村田が声をかけてきた。
バシャアァンッ!
「ええっ!!お、おおおいっ!!」
村田の声が遠くなっていく、体力の限界と体温の急激な低下で霧香は昏睡状態に入った。
――――――――――――――
「・・・・・・」
目を覚ますと雪原に寝転んでいた。
「ここは・・・」
「ここは、あなたの心の核ですよ」
「!」
振り向くと女性が一人立っていた。
明るい青い瞳と夜の空のように濃い青の髪色をした美しい女性だ、直感だが霧香はわかった。
「夜霧さん・・・?」
「・・・・・」
女性はにっこりと優しく微笑むと頷いた。
「不思議ですね」
夜霧は霧香の傍に膝をつけると彼女の頬を撫でた。
「本当に私にそっくり、私が世を去ってから三百年・・・あの方(縁壱)との血を今世(大正)まで繋ぐことができるなんて。兄上とあの子たちには本当に感謝しかないわ」
まるで我が子に言っているような夜霧。
「あの子たち?」
「黒椎と紅虎です、私は双子を産み落とした後、自分の力が衰え始めていることに気付いてから二人に兄上と一緒に我が子のことをお願いしていたの。呪術家の中でも自分のもっとも近くで信用できるのはあの二人だけだったから」
夜霧は霧香を抱き締めた。
「ありがとう、ここまで頑張ってくれて・・・・」
「え?」
「あの男との因縁は千年にも及ぶけれど、私たちが取り逃がしてしまったことでその使命を三百年後のあなたに背負わせることになってしまった。
でもあなたたちは一族の使命と思って頑張ってくれた、そしてこの痣・・・」
背中に手を当てる夜霧。
「痣のことも知っているんですか?」
「ええ、私はあなたの体の遺伝子をかえしてそれを認知しています。それにね、私も痣者だったの」
「え?」
「私の肉体は既に滅んでいるので確かめる術はありません、信じるかもあなた次第です。
でもね、私が痣者であったことは事実です。背中に雪の結晶の様な痣があったんですよ」
驚いた、彼女にも痣があったとは・・・・しかも自分と同じ『雪の結晶の形』の痣が――・・・。
「霧香さん、ごめんなさいね。潜在意識の中とはいえ自分の子孫に会えたことが嬉しくてすっかり前置きが長くなってしまって――・・・。
ここからはあなたの体に関することなので心して聞いてくださいね」
夜霧は真っ直ぐ霧香を見た。