第83話 最終稽古・悲鳴嶼行冥
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「はあ・・・」
霧香はため息をついて歩いていた、それは思い詰めてのものではない。肉体的なものだ、正直、柱稽古は上弦の鬼との戦いを連日しているようなものだ。
特に蜜璃以外の柱は容赦がなかったので連日続くと厳しいものがある、それでも何とかここまで来れたのだ。そしてこれから向かうのは『柱最強』と言われる悲鳴嶼行冥の所だ。
「私・・・最後まで保つかな?」
とは言いつつも保たせてみせるのだが・・・進む足取りが少し重くなっていた。岩柱の屋敷は山奥だと聞いてはいたもののまだ見えない。山に入ってから随分経つのだが・・・・。
「?」
ふと耳に何かが聞こえた、音の方に足を進めていくと・・・。
ドドドドドド・・・
音の正体は滝だった、大きく、水の勢いが強そうだ。しかし見えたのは滝だけではなかった。
『如是我聞、一時仏在、舎衛国、祇樹給、孤独園・・・』
「!?」
勢いよく流れる滝の水に体を打たれながら念仏を唱える隊士たち、俗にいう『滝行』だ。
「・・・・・」
「あ!霧香!」
「え?琴乃?」
「ようやく合流できたのね~、よかったわ~!」
「ああ、うん・・・元気そうだね・・・」
「ええ!アカリも元気よ~!」
彼女は道着を着ているにもかかわらず、全身ずぶ濡れだ。しかし体温が下がっているような顔色ではなくむしろホクホクしている。
「えーっと・・・琴乃、寒くないの?」
「いいえ、悲鳴嶼様の特訓のお陰ですぐ熱くなるわよ~!」
『え・・・?滝に打たれてるんだよね?』と思っていたが後ろから声が聞こえる。
「心頭を滅却すれば火もまた涼し・・・」
振り返れば岩柱・悲鳴嶼行冥の姿があった。
さらに二、三本束ねられた大きな丸太を両肩で支えている、支えとして岩が二段積み上げられた柱で補助をしているが問題はそこじゃない。
彼の足場は火の海だ・・・。
「・・・・・・」
しかも裸足・・・。
「ようこそ・・・・我が修羅場へ・・・」
「は・・・はい・・・」
一度灼熱稽古から出てきた悲鳴嶼は羽織を着て霧香の前にやってきた。
「よく来た、待ちわびていたぞ」
「は、はい・・・お世話になります・・・」
ジャリジャリと数珠を鳴らしながら稽古の内容を話す。
「最も重要なのは体の中心・・・足腰である。
強靭な足腰で体を安定させることは正確な攻撃と崩れぬ防御へと繋がる・・・まずは滝に打たれる修業をしてもらい、丸太三本を担ぐ修業、最後にこの岩を一町(約110m)先まで押して運ぶ修業。
私の修業はこの三つの簡単なもの・・・下から火で炙るのは危険なため無しとする」
「は、はあ・・・」
「ただし・・・」
「?」
「お前たち華陽隊は半妖、常人より強い肉体を持っている故、岩を押す距離は三町(約330m)とする」
チーン・・・・
「あら?霧香?」
霧香の意識が一気にぶっ飛んだ。