間章・富岡義勇
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「・・・・・」
霧香は一人、ある場所へ向かっていた。
事の発端は時透邸から次の稽古場へ向かおうとしていた時だった、牡丹が一通の手紙を持ってきたのだ。
送り主を見ると輝哉からだった、そして『霧香だけの時に見て欲しい』という伝言だったので琴乃とアカリには先に行ってもらい、一人になったのを確認して封を開いた。
『霧香、稽古ははかどっているかい?
私は日々体が衰弱している、先達ての会議の時も床に伏せたままの同席で申し訳なく思っているよ。
できることなら私自ら指揮を執らなければならないのに情けないことだ、今回手紙を認めたのは君に頼みごとをしたかったからだ。
君と炭治郎の兄弟子である義勇のことだ、これも本当は私が話したいのだけれどできない、そこで君と炭治郎に彼と話をしてほしいんだ。
今はとても大事な時期だからみんなが一丸となって頑張りたいと思っているんだ、お願いだ、義勇と話をしてやってくれないだろうか。
どうしても独りで後ろ向きになってしまうあの子が前を向けるように・・・根気強く話をしてやってほしい』
「お館様・・・」
御身も辛い状況だろうに部下たちのことを心配している。
「そういえば狭霧山でも錆兎に言われたな・・・」
『もし義勇が稽古に参加してなかったら、お前一発アイツの事ぶん殴れ』
「・・・・・・」
殺気を帯びた錆兎の顔を思い出す霧香。
「お館様・・・多少手荒になっても許して下さいね・・・」
――――――――――――――
と、いうわけで歩いているうちに富岡邸の前まで到着したのだが――。
「こんにちはー!富岡さーん!」
「・・・・・・」
炭治郎が既に来ていた、しかも松葉杖付いて・・・。
「あ!霧香さ―――んっ!!」
しかもこちらに気付いてブンブン手を振ってくる、霧香も苦笑しながら手を振りつつも『怪我がぶり返すからやめなさい』と頭の隅っこで思うのだった。
「霧香さんも富岡さんに会いに来たんですか?」
「うん、お館様に手紙を貰ってね」
「そうなんですね!じゃあ一緒に行きましょう!富岡さーん!義勇さーん!今日は霧香さんも一緒ですよー!!」
霧香の手を引いてぴょんこぴょんこと進む炭治郎。
〈うーん・・・こんなに声かけても反応がないんだからいないのでは?〉
と思った瞬間だった―――・・・。
「じゃあ、入りますー!」
〈『入ります!?』だと!?〉
炭治郎は自然に入ってしまった、もちろん自分も引き連れて・・・。
「こんにちは!義勇さん!」
「・・・・・・」
道場の中を覗き込めばそこには座禅を組んでいるもののポカーンとした表情でこちらを富岡義勇の姿が・・・。
〈っていたんかい!!ということは居留守か・・・〉
炭治郎に連れられて義勇の前に座ったものの居留守を使われたことに少し腹が立った霧香。
そんな彼女の心境も知らずに炭治郎は今、鬼殺隊が取り組んでいる柱稽古について話し始めた。
「俺もあと七日で復帰許可が出るから稽古つけて貰ってもいいですか?」
「つけない」
バッサリ即答。
「どうしてですか?」
こちらもめげない炭治郎。
「じんわり怒っている匂いがするんですけど何に怒っているんですか?」
「お前が水の呼吸を極めなかったことに怒っている、お前は水柱にならなければならなかった」
「それは申し訳ないです、でも鱗滝さんとも話したんですけど使っている呼吸を変えたり、新しい呼吸を派生させるのは珍しいことじゃないそうなので。
特に水の呼吸は技が基礎に沿ったものだから派生した呼吸も多いって・・・」
「そんなことを言っているんじゃない。
『水柱が不在』の今、一刻も早く誰かが水柱にならなければならない」
「水柱が不在?義勇さんがいるじゃないですか?」
炭治郎は義勇が何を言っているのかわからなかった。
「俺は水柱なんかじゃない――・・・帰れ」
彼はすくっと立ち上がって出て行ってしまった。
炭治郎は不安そうな表情をしながらも輝哉からの『根気強く話してやってほしい』という言葉の元、手土産に持っていたおにぎりを渡したり(直接では受け取ってはくれなかったので廊下に置いた)、可能な限り付きまとい、話しかけまくる、食事でも買い物でも風呂でも厠でも・・・。
ここまでされては義勇も戸惑い、四日後にはさすがに根負けした。