第79話 柱稽古・その2 時透無一郎
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ごめんください」
宇随天元の稽古を通過した四人が次に向かったのは霞柱・時透無一郎の屋敷だった。
来訪を知らせる言葉を放ったものの返事がなく、屋敷の扉を開けてみると道場の方からカンカンという音が聞こえてくる。
「稽古の真っ最中というところかしらね」
琴乃が中に足を踏み入れた。
「行きましょう、おそらくあちらには聞こえてないわ」
四人は道場の方へ歩き出し、扉を開けて再度声をかけた。
「ごめんください、時透様」
「ああ、霧香!みんな、来たんだね!」
明るい笑みを浮かべて出迎えてくれた無一郎、しかしその後ろにはつい先ほどまで稽古を受けていたであろう隊士たちが転がっている。
〈私たちと彼らとのこの違いは何だろうか・・・〉
自分の屋敷でも思った、無一郎は海野家や杏寿郎、千寿郎、華陽隊、炭治郎たちには好感的だが他の者、特に下の隊士たちには冷たい。
「こ、こんにちは・・・時透様・・・」
「こんにちは!久しぶりだね、元気だった?」
「ええ・・・はい・・・」
引きつった笑みしか出せない霧香だが無一郎は気づいていない。
「アカリも!会いたかったよ!」
次にアカリに駆け寄って手を握る無一郎。
「~~~~~~っ/////」
「(ニッコニコ!)」
刀鍛冶の里の任務以降から無一郎がアカリと一緒にいるところをよく見かけていたがどうやら彼はアカリに好意を寄せているようだ。
「と、時透様・・・場所、お忘れですか?」
その言葉に後ろの隊士たちの視線に気付く無一郎。
「何見てるのさ・・・君たちはまだ稽古中なんだよ、へばってないでさっさと立ちなよ。
壁側にいる君たちも、見世物じゃないんだよ・・・起き上がらないんだったら彼らをどかして次の人は前に出てよ」
慌てて数人が倒れている隊士たちを脇に寄せた、しかし誰も出る気配がない。
「時透様、次の相手は私たちが」
「?」
霧香が荷物を置いて壁にかけてある木刀を一本掴む。
「あなたの稽古は『高速移動』、肉体、技量、共に速度の上昇です。
私も今の自分の速さに満足していない・・・柱の中で『最速』を誇るあなたの目で『技』を見て、あなたなりのやり方で私を育ててください」
無一郎の前で木刀の先端を彼に向ける。
〈霧香、僕は嬉しいよ。今、君とここで稽古であっても戦えるのが・・・・〉
無一郎も木刀を構える。
〈僕らは家族でもあるが、好敵手だ――・・・僕らの先祖もこうして競ったのかな?
いや、たとえそうでなくても僕は・・・僕らは――・・・〉
「いいよ、霧香!向かってきて!」
カーン――・・・!
木刀がぶつかる音が聞こえる。
「――っ・・・」
「・・・・」
カンッ!カンカンッ――・・・!ヒュンッヒュンッ、カツンッ!
二人の激しい打ち合いに隊士たちは顎が外れてしまったかのように呆然。
「霧香、もっと踏み込んで良いよ。僕が柱だからって気を遣わないで」
「使ってませんっ!」
「じゃあ僕の方が速いってことだね」
無邪気に笑う無一郎に少しムッとする霧香。
「つっ!?」
スッと力を抜かれて前のめりになった無一郎、そこへ霧香の上段攻撃が降ってくるが、反射速度も速く、回避した無一郎。
「時透様、油断大敵ですよ」
悪戯っ子のようにニッと笑う霧香。
「やったね・・・僕はやったらやり返すよ」
「どうぞ、こちらもお言葉に甘えて『遠慮』は致しません!」
「そうこなくちゃ!」
二人はまた打ち合いになる。
「オイオイ、あいつ霞柱についていってるぞっ・・・」
「ただでさえいつ打たれたかもわかんないのに・・・、あいつ全身に目があるのか?」
今まで無一郎にしごかれていた隊士が目ん玉が落ちそうなくらい目を見開いている。
「そんなわけないでしょ」
「「!?」」
「あれは視ようとしてるのよ、動きをね」
「視えるモンなのか!?」
「アンタたちが視えてないだけよ」
『ガーン』と『嘘ォ!?』という感情が入り混じった顔でアカリを見る隊士たち。
「確かに最初は視えないかもしれないけど一日、二日あればなれるかもしれないわね~」
琴乃の言葉に『マジッ!?』という表情になる。
「千寿郎くんはどう?視えそう?」
「あ、はい・・・琴乃さんのように時間をかければ――・・・」
「どれくらい?」
「おそらく・・・三日程あれば」
「そう、じゃあ目安は三日にしましょうか」
その言葉に『ズザザザザッ!!』と道場の隅っこに固まってしまう隊士たち。
まさか・・・三日でこの稽古を終わらせる気か!?コイツら!!
隊士たち一同の声が心の中で響いた。