第78話 柱稽古・その1 宇随天元
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「ハハハハハハハッ!!良い度胸だ、お前ら!!」
久しぶりに血が滾る。
「おら来い!!上弦の鬼に勝ったその力俺に見せてみろ!!」
宇随の言葉に華陽隊は各々向かって行く、そして千寿郎も――・・・復帰したてとは思えないほどの戦いぶりだ。
「これが・・・」
「上弦の鬼に遭遇して勝ち抜いてきた者の力か・・・・」
「あの千寿郎って奴も一人で藤襲山の鬼を半数以上倒したんだよな?」
「ば、化けもんかよっ・・・!!」
見ていた隊士たちは夕飯時に聞いた四人(主に華陽隊)の話を思い出した。
「なあ?上弦の鬼ってやっぱり強いのか?」
その問いに三人は首を傾げた。
「ん?何だ?」
「うーん・・・『強い』っていうなら鬼は人間より強い、それは当たり前だと思う」
霧香の言葉に返す言葉がない。
「アレ(上弦の鬼)に関してはどちらかと言えばココの問題だと思う」
左胸をトントンと叩く霧香、それに琴乃もアカリも納得したようだった。
「そうね~、アレは己の心の念、抱いている最も強い感情の現れでしょうね。それが他の鬼たちよりもずば抜けているから上に上に昇って来たのかもしれないわ~」
「どいつもこいつも気持ち悪いくらい執着がひどかったしね、その上に鬼の元締め(鬼舞辻)がいるっていうんだから参っちゃうわ」
三人の感想に悪寒が奔りつつも質問を続ける。
「えーっと・・・上弦の鬼ってどんな性格の奴なんだ?」
「『ガキ』」
「『変態』」
「『被害妄想炸裂の猟奇殺人鬼』」
真顔で言った霧香とアカリに対し笑顔で言った琴乃の例えが一番怖かった、ちなみに上から上弦の陸、上弦の伍、上弦の肆の特徴を取り上げたものである。
堕姫と妓夫太郎については子供の時に鬼になったので狭い世界しか知らないままの姿なのだが玉壺は狂喜の変態的な思考の持ち主、半天狗に関しては喜怒哀楽の四人に加え、憎珀天、恨の鬼など幾つもの分身体を出してきたあたりかなり『被害妄想』と『自分の正当化』の感情が強い。
そして無限列車で遭遇した猗窩座は『弱者を嫌い強さを求める』という感情が強い、おそらくあと二人の上弦も何かしらの飛躍的に強い、高い感情があるはずだ。
それも同族を気落としてまで実現したい強い感情が――・・・。
「でも考えてみれば彼らをそうせざるを得なくしたのも私たちの生きるこの『世の中』なのよね・・・」
湯呑を少し揺らしながらつぶやく琴乃。
「私たちもそうだけど・・・・同じく上限と遭遇した炭治郎くんたちは恵まれていると思うわ、人の輪が良縁を紡いでくれているのだから」
確かに鬼になった者たちは何かしら人間だった頃に不運に見舞われ、それが晴れなかった者達だ。
彼らに対し、自分たちは不運に見舞われたとしても呼吸を教えてくれた育手、お館様である輝哉、怖いとは思いつつも頼もしく思っている柱、そして今ここにいる仲間たちに出会えている。
そして能力は劣るかもしれないが隊士として『守る側』の力を手に入れることができた。
「あんたたち」
アカリの声にビクッとした隊士たち。
「私たちを羨むのは自由だけれどあんたたちも鬼殺隊でこれまで経験してきたことがあるでしょ?
それを『無駄』なんて思うんじゃないわよ、そんなこと思ったらあんたたちと一緒に闘ってくれた亡き同僚たちに失礼だわ」
人には各々備わった能力がある、それが極め切れるか否かは周囲も本人でさえも分からないものだ。
だから『他人を羨む』ことがあるのだろう、でも今までの自分を否定してはならない、良き行いにしろ悪しき行いにしろ過去あっての自分だ。
その末路がどんなことになろうとも先に進むしかないのだ、それが自分の足で歩くのか、船に乗った状態で流される選択をするのは自分だ。変わるのは今しかないのだ。