第78話 柱稽古・その1 宇随天元
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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月が昇った真夜中――・・・。
森の中で隊士たちは命の危険に怯えながらも駆けていた。
「皆、三組で固まって動くのよ!絶対単体で動かないで!」
各々、アカリと琴乃、霧香が隊長となって組み分けした仲間を連れて森を駆けていく。
千寿郎は霧香の隊に入っている、まだ集団行動の経験が浅いからだ。
「鬼は夜の闇の中から人間を狙っている・・・」
「つっ!止まって!」
「円陣を組んでお互いに周囲を警戒しなさい!」
三組は止まり、円形を作り周囲を警戒し気配を探る。
「・・・っ」
「千寿郎くん、気を静めて」
「霧香さん・・・」
「自分の身をかき乱されては相手の術中に落ちる、那津蒔兄さんにも教えてもらったでしょう?」
『千寿郎、いつでも自身の心、軸を乱すんじゃない。
心をかき乱されるのは自分の死に繋がる、人間は恐怖と隣り合わせで生きる者だ。
だがな、それ以上に根っこが強い者でもある。不安に押し潰されそうになったら呼吸をしろ、次に自分の守り人を感じろ。
自分が何に守られているのか、何を守るのか、自分のするべきことは何か――・・・そうすればお前の心の根っこは抜けることもなければ潰れることもない、つまり心は乱れない』
千寿郎は肩の力を抜くため息を吐いた。
自分が何に守られているか・・・、それは華陽隊と仲間たち。
何を守るか・・・、自分の命と仲間の命。
自分が何をすべきか・・・・
「フゥ――・・・・」
すると月の光に照らされた地面に小さい影が見えた。
「炎の呼吸・弐ノ型――・・・・『昇り炎天(のぼりえんてん)』!」
炎の刃が頭上からの敵に斬りかかった。
「!?」
襲撃者はすぐに距離を置いた。
「へえ・・・なかなかやるじゃねーか」
天元が木刀を肩に担いでニイッと笑う。
「さすが炎柱の弟だな」
「違います」
「?」
「煉獄杏寿郎の弟だから強いのではありません、背中を守ってくれる仲間がいるから強いんです!
そして僕は鬼殺隊隊士・煉獄千寿郎!鬼を倒す煉獄家の男です!!」
「千寿郎くん・・・」
小さな背中にいつかの炭治郎を見た。
〈強くなったね、とても頼もしいよ〉
海野家での特訓はとても辛い事だっただろう、さらにほとんど実践経験がないのに鬼の蔓延る藤襲山の危険地帯での復帰試験。
並の精神力ではとっくに逃げ出しているはずだ、でも千寿郎はここまで昇り上ってきた。彼も立派な鬼殺隊の隊士だ。
「ほう、良く言った!その調子で仲間を守って朝まで耐えてみろ!」
今度は天元が仕掛けてくる。
「!」
天元の攻撃を受け止めようとしたがその前に二振りの刃が現れた。
「私たちのことも――・・・」
「忘れて貰っては困る!」
霧香とアカリの太刀が天元の攻撃を弾いた、どうやらアカリの部隊も近くにいたようだ。
ザザザザザザッ――・・・・!
「!」
「鋼の呼吸・参の型――・・・・『斬り羽(きりばね)』!!」
暗闇から逆に攻撃される天元、避けたものの自分が立っていた地面は抉られている。
「さすが『剛力』の持ち主だ、まともに受けたらどんな屈強の男でも骨が拉げちまう」
「お褒め頂き光栄です、でも――・・・」
鉄製の薙刀を持った琴乃がニッコリ微笑む。
「今夜は『あの時(最終選別)』と同じ、本当に拉げてしまっても怒らないでくださいませね?」
笑顔で恐ろしいことを言う奴だと思った、確かに『命の取り合いだ』といったのは自分だ、だが華陽隊は本当に柱であっても『自分を殺る気』でいる。