第77話 覚悟
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「心の霧は晴れたか?」
「はい・・・と言いたいところですが、まだ少し残っています。
自分でもわかってはいるんです、いつか今の生活は変化する・・・あの子たち(使役鬼)とお別れしなければならないことも」
「・・・・・・」
「でもそれを躊躇している、否定している自分もいるんです。大切な人を失っているあの子たちをまた苦しめるのかと――・・・救うと約束したのにまた暗い世界に突き落とすことをしていいのかと。
だから苦しくて、悲しくて、逃げ出したい気持ちに狩られてここまで来てしまったんです。あの子たちがいなくなるのが怖いから・・・・」
「・・・・・・」
杏寿郎は静かに話を聞いていた。
「俺も怖い」
「え?」
「使役鬼の皆に会えなくなるのは俺も怖いし、悲しい。だが、俺が彼らの立場なら悲しみよりも喜びの方が大きいと思う」
「喜びの方が大きい?どうしてですか?」
「彼らは『大切な人』が死んでいく姿を何度も見た、それが闘いの中でも病だったとしても天寿を全うした床の上だったとしても、彼らは自分の大好きな人が亡くなるのを見届け次の世代に受け継ぎ、五大呪術家が長年果たす大業を成し遂げるためには動いてきた。
そして今回、その好機が訪れようとしている。
俺ならば『ようやく大切な人が幸せになれる』と感じる、そのためには何をしてでもそれを現実にしたい。
それが自分を生まれ変わらせてくれた人への何よりの恩返しだと思うからだ」
「・・・・・」
「使役鬼が消えることは『殺す』のではない、彼らからの『恩返し』だ、それにすべてが消えるわけじゃない。
彼らが生きていた証は鬼灯と君たち五大呪術家のここ(心)に残っている、それを忘れなければ彼らが滅ぶことはない。
俺の心にも彼らは生き続ける、弟の千寿郎の心にも竈門少年の心にも、鬼殺隊の心にも」
ポロ――・・・
霧香の目から大粒の涙が零れた。
彼が使役鬼たちのことをそこまで言ってくれるのが嬉しかった、彼らは鬼殺隊に認められつつある。
そして今後の動きは主である自分たちの立ち振る舞い方で変わってくるのだ、彼らが少しでも動きやすく、後悔なく、逝かせてやりたい。
それが五家の使役の主としての最後の務めだ、今日一日で両親、師匠、兄弟弟子、杏寿郎から多くの力をもらった。
「そうですね・・・頑張ってるんですよね、あの子たちは」
霧香が足を止めたので杏寿郎も止まる。
「自分たちがいなくなるかもしれない最期の時まで。
その前に私がこんな風になってたらきっと彼らは・・・安心して逝けない」
「うむ・・・」
彼女の肩に優しく手を添える。
「ごめんなさい、もう今日一日・・・私、情けないです・・・」
「いいんだ・・・俺も母上が亡くなった時とても辛かった、君の気持ちはよくわかる」
霧香の涙をハンカチで拭うと再び右手を握る。
「さあ、帰ろう。瀬津寿殿たちも心配しているぞ」
「はい・・・」
夕焼けの中、二人は肩を並べて道を歩き出した。
そして屋敷に到着した後、霧香が瀬津寿や安岐に『精神が未熟で申し訳ありません』と大泣きして平謝りしたという。(二人は霧香を囲んで『よしよし』タイムに入っていた:末娘でまだまだ子供だなという親心)
続く