第77話 覚悟
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「ありがとうございました・・・師匠・・・」
「気にするな、それよりも先ほど言ったことを忘れるなよ」
「はいっ・・・」
鱗滝に諭されて心を落ち着けた霧香は小屋を後にした、そしてもう一か所寄っていくことにした。
「真菰」
あの大岩のところだ、初心に戻るためにと久しぶりに寄ったのだ。
「私、駄目だね・・・もっとしっかりしないといけないのに」
『そういうところが悪い癖なんだよ』
「!」
声に振り向くと真菰と錆兎が立っていた。
「真菰、錆兎」
『よお、随分と情けない顔してるな』
『錆兎!』
『まあ、あれだけ泣けばそんな顔にもなるか』
「見てたの?」
『聞こえたんだよ、お前の情けない声がな』
「・・・・・・」
内心、『こいつ・・・』とか思っている霧香だが言われていることは本当なので言い返せない。
『使役鬼』
「え?」
『お前が家族だと考えているように、その使役されている鬼たちもお前のことを家族と思ってるんだろ。
お前がそいつらに生きててほしいって考えているように、使役鬼たちもお前に生きてほしいって願ってるんだ、そのために闘ってくれてるんだ』
『錆兎の言う通りだよ』
真菰が霧香の前に駆け寄る。
『私は自分の分まで霧香に生きてほしいし、たくさん幸せになってほしい!
自分だけの気持ちだけじゃなくて彼らの気持ちも大事にしてあげて、そして受け継いでいってあげてね』
「!」
いつかの響凱の言葉を思い出す、無限列車の任務が終わって屋敷に戻った時だ。自分を独りにする方が御免だと叱られた。
〈そっか・・・ごめんね、響凱・・・・〉
彼らは私たちのために頑張ってくれているんだ、同じ目的を果たすために・・・。
「ありがとう、錆兎、真菰。私は本当に良い兄弟子と姉弟子に持ったよ」
『えへへへ…////』
『フン・・・』
暗い表情から笑顔が漏れたのを見て錆兎も真菰も嬉しそうだ。
『霧香は今後、どうするの?』
「近々、柱が主導になって行われる『柱稽古』っていうのが始まるそうだからそれに参加するよ」
『柱稽古?』
「柱自らが継子だけでなく鬼殺隊の隊士全員を鍛えるんだって、皆さん独特の呼吸の使い手だから多くのことを学べると思うよ」
『その稽古をつける柱には義勇も入ってんのか?』
「わからない、ただ蟲柱である胡蝶様は香炉家との合同研究があるから稽古には参加できないんじゃないかな」
『・・・・・・』
「錆兎、富岡様がどうかした?」
『もし義勇が稽古に参加してなかったら、お前一発アイツの事ぶん殴れ』
「えええぇぇ――――っ!!!?」
『いいな、どんな手段を使っても良い。殴るだけじゃ足らん、叩け、蹴ろ、投げろ』
「無茶言うな!!」
『上司にそんなことができるかっ!!』と気持ちで一杯だ。
『あいつはな、昔から本当に小せぇんだよ器がよ、そのせいで俺が何回殴った事か・・・いっつもいっつもやれ自分が死ねばよかっただの、俺さえいなければだの・・・人の気持ちなんか少しも考えられねぇ馬鹿野郎なんだよ・・・・ブツブツブツブツ・・・』
「・・・・・」
錆兎が何やら思い出した可のようにブツブツ言い始めた、その背中には夜叉の顔が見える。
〈あの表情微動だにしない富岡様が錆兎に夜叉背負わせるくらい何かしたのか?富岡様何したのっ!?〉
『霧香』
「!」
ブツブツ言っている錆兎の眺めていたが真菰の声でハッとする。
『もう日が暮れるし、帰らないと家族が心配するよ』
見れば陽の光が沈み始めている。
「もうそんな時間か・・・じゃあ帰るよ、ありがとう真菰、錆兎も・・・・一通り、落ち着いたら伝えといて」
『うん』
そう言って手を振ると二人に背を向けて山を下りようとする霧香。
『霧香!』
「?」
大きな声で呼び止められて振り返ると真菰が大きな目を不安げに揺らしてこちらを見ていた。
『生きて帰って来てね・・・私たちはずっと、一緒だよ』
そう言って彼女は手を振ってきた、霧香もまた頷いて手を振って今度こそ山を下りた。
山の入り口付近に近づいた時だった。
「霧香」
「つっ・・・杏寿郎さん!」
何と杏寿郎が待っていた。
「鱗滝殿から手紙を貰ってな、帰る時には暗くなるだろうからと迎えにきた」
「そうでしたか、でも私も剣士の端くれです。一人でも大丈夫ですよ?」
「俺の許嫁はお前だけだ」
そう言って杏寿郎は霧香の右手を握って歩き出した。