間章 新しい家族
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「こんにちは、霧香」
「いらっしゃいませ、時透様」
海野家と鬼殺隊の過去を産屋敷家と柱を交えて話をして以来、無一郎は度々海野家を訪れるようになった。
「そんなに畏まらないでよ、はいこれ」
そう言って包みを差し出す。
「来る途中に買って来たんだ、お煎餅なんだけど・・・」
「あ、これ美味しいって評判のお店のですね。ありがとうございます、みんな喜びます」
受け取ると霧香は中に無一郎を通した。
あの話を聞いてからというもの、無一郎の中で一つの結論が出た。
どうして霧香に対してあんなに懐かしい気持ちになったのか、それは自分の先祖と霧香の先祖に結びつきがあったからだろう。
そして同時に遠縁ではあるものの自分と海野家の人々は親戚ということになる、天涯孤独になってしまった無一郎にとっては『家族』がいるということが嬉しかったのだ。
そして――・・・もう一つ。
「時透」
「煉獄さん!」
刀鍛冶の里で無一郎は自分の記憶を取り戻すことができた、そして柱になってからずっと自分を見守ってくれた杏寿郎のことも思い出したのだ。
「体は大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫」
無一郎の笑顔に杏寿郎も笑みを浮かべると頭を優しく撫でた。
煉獄家の面々が海野家の世話になっている事情は聞いているので杏寿郎に会えることも無一郎にとっては楽しみの一つだった。
「どうぞ、みんな待っていますよ」
「うん」
居間に通すと真っ先に飛びついてきた者達がいた。
「むいちろーお兄ちゃん!!」
「わーい!むいちろーくんだ!!」
晴哉の娘たちである、その後ろでようやく一人で座れるようになった晴哉の息子が無一郎を見てニコニコ笑っている。
「時透様、ようこそいらっしゃいました。この子達ったら時透様が来るのを今か今かと楽しみにしていたものですから・・・堪忍してやってください」
母親の御園が申し訳なさそうに言った。
「いいえ、僕もこの子たちと遊ぶのは大好きですから」
そう言って娘たちを抱っこする無一郎。
「うわ~!!お兄ちゃん力持ち!!」
「きゃあ~~!!はははっ!!」
「ああ~!」
息子もこちらに来たいようで手足をばたつかせている。
「杏寿郎さん、私はお茶の準備をしてきますので子供たちのお相手をお願いできますか?」
「手伝おうか?」
「いいえ、大丈夫です。
それに杏寿郎さんもあの子たちからは負けず劣らずの人気者なんですからお相手をしてください」
「うむ、ではそうしよう」
いただいたお煎餅を持って厨房に向かう霧香を見届けると杏寿郎も無一郎のところへやってくる。
「よしよし、俺が抱っこをしよう」
晴哉の息子を軽々と抱き上げて無一郎と同じ目線にしてやるととても上機嫌になる。
「あー!!きょーじゅろーお兄ちゃんに抱っこされてずるい!!」
「私も!私も!」
「む!?これはこれは・・・」
抱っこを交換し、今度は無一郎が息子を杏寿郎が娘たちを抱っこすることになった。
「大人気ね、二人とも」
微笑ましそうに見ている御園。
その後、今のすぐ庭先で鬼ごっこやお手玉などをしたりして遊ぶ二人。
無一郎にとってはこの瞬間が一番幸せだった。
孤独だった自分を繋げてくれた海野家とその家の人たちの暖かさに居心地の良ささえ感じていた。
「みんな、お茶が入りましたよ」
そこへお茶を持ってきた霧香。
「あら、ちょうどいいわね」
御園が霧香の横にいる式神から御茶請けのお煎餅を受け取る。
「あら、これお義母さんが『美味しい』っていってたお煎餅じゃない?」
「はい、時透様から頂いたんです」
「そうなの」
御園は息子と縁側でお手玉をしている無一郎を見ている。