第75話 小さな幸せ
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「すまない・・・すまないっ・・・お前たちと、母上のそばにいられずに・・・本当にすまないっ・・・」
「「・・・・・」」
二人ともポカーンとして縁壱のされるがままになっている。
縁壱は決意した、夜霧が与えてくれたこの幸せを自分が守っていこうと・・・。
――――――――――――
「その後、継国縁壱は海野家で夜霧が住まいとしていた小さな庵で余生を過ごした。子供たちと一緒にな。
そして成長した後朝霧は冬寿の息子と結婚して海野家の本家に行き、継縁は種の娘と結婚をしてそのまま身を隠し続けて家系を存続させていった」
「ちょっと待て」
そこで実弥が話を止める。
「その縁壱ってやつは子供に『日の呼吸』を継がせなかったのか?」
「ああ、継がせなかった」
これには皆、納得がいっていなかったようだ。日の呼吸の使い手が増えれば貴重な戦力となり得るし、鬼舞辻をもっと早く倒せただろうに・・・。
「縁壱自身がそれをさせませんでした、そもそもあの男は自分が『日の呼吸の使い手』であることを子供たちには話しませんでした」
「どういうことだ!?」
「風柱殿、座られよ」
紅虎に掴みかかろうとした実弥を津雲が一喝した。
「『日の呼吸』というのは縁壱だけの才能だったのじゃ、双子の兄である巌勝(みちかつ)でさえ同じものを体得することはできなかった。
そなたらが扱う呼吸の源ともいえるものではあるが『全く同じ呼吸』を扱えるのは縁壱だけだったのだ」
「他の理由として子供たちの身を按ずるためということもありました」
「身を按ずる?」
「はい、呼吸を扱う者の体には負担がかかります。
特に痣が発現しているものの体に及ぼす負担は著しいものです。そして『日の呼吸』を使うことができるものが縁壱の他にいることが分かれば鬼舞辻の狩りの標的になってしまう。
継国縁壱はそれを避けるために『日の呼吸』の伝授をせず、また水龍の鬼狩りにも加えませんでした」
「うむ――・・・縁壱が牽制となり、それから六十年余り鬼舞辻は表に出ることはなかった。
だが縁壱が亡くなった後、夜霧の読み通り・・・ヤツは『日の呼吸』を知っている者たちを狩り始めた。
代が交代しているとはいえ、語り継がれているものも多い。ヤツは根こそぎ『日の呼吸』というものを消し去ろうとしたのだ。
我らも産屋敷家もそれを阻止するため『日の呼吸』のことについての語りは伏せることにしたのじゃ。
その甲斐もあって夜霧の血筋は現在(大正時代)まで守ることができた。
ここにいる瀬津寿、安岐、晴哉、那津蒔、椛、霧香は紛れもなく夜霧の直系の子孫じゃ」
「あの・・・」
そこでおずおずと蜜璃が手を上げた。
「どうされましたか?甘露寺様」
「今のお話で海野家の方々がその夜霧さんと縁壱さん・・・っていうすごい人たちの子孫だというのは理解できたんですけど・・・・その、安岐・・さんは嫁がれてきた方ですよね?海野家とは元々関係がない方なんじゃないかと・・・」
「そうだな、甘露寺の言うことも最もだ。その子孫とやらの中に奥方の名前も入っているが、そもそも嫁いできた人間がその子孫に入るのか?」
伊黒も同じところに疑問を抱いていたようだ。
それを聞いた時に津雲が苦笑しながら頭を搔いていた。