「その反応を見るに間違いはなさそうだな」

縁壱の表情に『やはり』と頷いた冬寿。

「ええ、間違いありません。私が見たのは彼女です」

「うむ、夜霧は水龍の鬼狩りではあるが私の妹だ。しかしこの容姿のため普段は裏方として動いてもらっている」

それを聞いて縁壱は疑問を抱いた、何故裏方に回ることが容姿と関係があるのかと――・・・。

「不思議そうだな、容姿とお役目に何の関係があるのかと――・・・君は何を考えているのかわからなそうに見えて実のところは正直なのかな？」

「つっ・・・」

自分が思っていることを当てられた手前、少し恥ずかしくなってしまう縁壱。

「夜霧の事は私たちの一族の中でしか共有していないことなのだが・・・・縁壱殿、他言無用にすることを約束できるならお話しよう。
もしできないならば、その組み紐を置いてお帰りいただこう」

突然の突き放した言い方をする冬寿、しかし海野家にとってはそれほど重要なことなのだ、彼女の事については・・・。


「わかりました、他言は致しません」

迷いはなかった、その言葉がスルッと出ていたのだ。

「感謝する」

そして冬寿も疑わなかった、何故だろうか。もしかしたらこの時点で彼は妹と縁壱の今後のことを予感していたのかもしれない。

冬寿は夜霧が自分の先祖の姿に誰よりも近しいこと、実力も然り。
もし公になった場合、通常の任務や鬼舞辻に関して影響し、行動が大きく変化することを話した。
そして縁壱が『呼吸』という戦闘技術を鬼殺隊の隊士たちに教えている今の状況は人材を育成する大事な時期、下手に動揺することは望まないと告げた。

「縁壱殿、今後は鬼殺隊と私の妹との繋がりが増える。その時、何かと不便をかけると思うが助けてやってほしい。

君と妹が出会ったのも何かの縁だ、兄としてお願いできないだろうか？」

「はい、私でよろしければ」

「重ねて感謝する」


こうして夜霧に協力者が増えたのだ、そしてこのことは二人の未来に大きな傷と小さな幸せをもたらすことになるのだった。













続く