第74話 日輪と月光
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「お待ちを」
召集の解散後、各当主たちが返って行く最中、縁壱は海野家の冬寿を呼び止めた。
「縁壱殿、何か?」
「あ、その・・・あなたのお連れについてお話が・・・」
冬寿は夜霧を見ると彼女も不思議そうに縁壱を見ている。
「私の連れに何の御用ですかな?」
縁壱は懐から組み紐を取り出すと冬寿に見せた、すると一瞬だが反応があった。
「これは?」
「三日ほど前、鬼を狩った後の帰路で拾ったものです。夜明前の森の道でそこで女人がいたのですが、私が来たことに驚いてその場を去ってしまったのです。その時に落とされたのだと思います」
「・・・・・・」
簡潔に説明すると少し考え込む冬寿、そして縁壱を見る。
「縁壱殿、この後時間は御有りか?」
「・・・ええ、問題ありません」
唐突に聞かれたので一瞬戸惑ったが返答した。
「では場所を変えよう、ここでは何かと話しにくいのでね」
縁壱はその後、冬寿に着いていくととある樹の前で腕を掴まれた。
「これからある場所に移動する、そのためには印をつけなければならない」
「印?」
「君の体に害を及ぼすものではないから安心してくれ、用件が終わり帰る頃には自然と消える」
そう言って指で縁壱の手の甲を何やら文字を書いた。
「さて、行こうか」
続いて手を樹に翳すと空間が捻じれた。
「!?」
驚いている縁壱を気にせず冬寿はその捻じれた空間に入った。
「大丈夫です、お入りください」
後ろから夜霧が声をかけてくれる。
「・・・・・」
戸惑うが意を決して足を踏み入れた縁壱。
「!?」
一瞬だった。
視界が変わったのは空間に足を踏み入れてから一瞬の出来事だった。
縁壱は小さな庵の前に立っていた。
「さあ、中へ」
言われるがまま庵の中へ入る縁壱、中は質素で必要なもの以外は何も置かれていなかった。
「お帰りなさいませ」
「茶を頼む、三人分だ」
「はい、かしこまりました」
出迎えた女童に茶を頼むと冬寿は縁壱に座敷用の布団に腰を下ろすよう受け流す。
彼が座ったのを見て冬寿も腰を下ろし、夜霧も冬寿の隣りに腰を座った。
「ここならば何を話しても問題はない――・・・縁壱殿、先程の組み紐を拾った時の事をもう少し詳しく聞かせてくれないか?できれば時刻や拾った場所など、見た物をなるべく正確に教えて欲しい」
「・・・・・」
詰問にも取れる文言だが縁壱は詳細を事細かく話した、すると冬寿は時折頷いている。
「そうか・・・」
縁壱の説明に何かしら納得がいったのか夜霧に声をかける。
「はい・・・」
「頭巾と面を外しなさい」
「・・・・・・」
夜霧は躊躇しているようだ。
「縁壱殿の説明を聞いてお前も心当たりはあるだろう、私もほぼ確信を得てのことだ。外しなさい」
「・・・・はい」
返事をすると頭巾と仮面を外す夜霧。
「・・・・っ」
彼女の素顔に縁壱はまたあの時と同じ感覚に陥った。