第74話 日輪と月光
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「夜霧殿か、儂は構わぬが皆はどうだ?」
岩倉家当主が各々の当主の顔を見ると同時に頷く。反対する者はいないようだ。
「問題ない、話しなさい」
「ありがとうございます。
今、お聞きしている内容からして育成する人材確保にお困りだと認識いたしました。
そこで私から一つ提案がございます。
その人材を輩出するのは産屋敷家ではなく我ら五大呪術家の者から出してはいかがでしょう?」
「「「!?」」」
「夜霧っ、お前何を―――・・・」
これには兄の冬寿も驚く。
「それはしっかりとした理由があってのことであろうな?」
「はい、まず第一に陰陽術というのは一種の才能が不可欠。
霊力、妖力、特殊な体質の才能、生まれながらにして恵まれやすい我ら一門に対して産屋敷家の家臣の方々は純粋な人間です。
そして元より、陰陽術は人外の術、なろうとしてなれるものではありません。
我が一門の中でさえ、体得するのが困難な者たちもいるのですから」
それを聞くと五家の当主たちの顔が曇る。
「それに対して継国縁壱殿が伝えている『呼吸』というのは人間の精神能力、身体能力をそのまま強化し、技術に昇華するというもの。
私どもとやり方は違えど、鬼を滅する戦闘方法に変わりはありません。
そしてより体得しやすい可能性があるならば一門の子供たち、また種の方々も声をかけ、『呼吸』の指導をしていただくというのも一つの手かと存じます」
夜霧の提案に五家の当主たちの心が揺れた。
『種(たね)』といわれる者達、姓を名乗ってはいないものの元々は五大呪術家の各々の家の子供たちだ。
ただ御家の後継者になれず、また五大呪術家の鬼狩りに入れる才覚のない者たちがいく一門の最下層の身分だ。
だが彼らがしている仕事は決して他の者が馬鹿にすることではない。
例えば香炉家で使用する薬草の栽培、岩倉家で製造する武具の材料の管理、養生。
そして五大呪術家の者が日々食す作物の栽培と管理もほぼこの種の者たちがしてくれている。
『最下層』と言ってしまっては聞こえが悪いが彼らは『縁の下の力持ち』という存在だ。
一門からは見放されてしまった彼らだが呼吸の戦闘技術がもしも適合していたのならば・・・・。
「夜霧殿のいうことにも一理あるな、我らもこの先、陰陽術での戦闘技術だけでやっていけるかどうか考えていたところもある」
「私は試す価値はあると思いますよ、もし後継者を除いた一門の者でよろしいのであれば一度御指南いただきたいです」
「うむ、私も香炉家当主に賛成だ」
香炉家当主、黒鉄家当主が賛同の声を上げた。
「焔、そなたはどうじゃ?」
「皆様の意志を尊重致す」
「わかった、冬寿殿は異論はあるかな?」
「いいえ、ございませぬ」
「うむ」
五家の長の意志がまとまったことにより岩倉家の当主が産屋敷家当主と縁壱に視線を移す。
「継国縁壱殿、そなたの呼吸のご指導を我が一門の子供たちにもご教授願いたいがよろしいかな?」
「ええ、私は構いません」
「だが、そうなれば約定の一部を改めなくてはならぬ。そこでだ、しばしの間、試し期間を設けていただきたい」
「試し期間・・・ですか」
「もし我が一門から子供をそちらに託し、ご指導を賜った後、どれ程の者たちがその才能を開花させるのか・・・・今の時点では見当がつかぬ。
そこで縁壱殿が『問題なし』と判断された場合、柱の方々と試合をしていただきたい。
そこで最終的な見極めをさせていただきたい。お目付け役としてこの海野家の側近である夜霧殿を付ける。
我が一門の子供たちが『戦地に赴くことに問題なし』と見なした場合は彼女に伝えてくれ。五家の当主で手の空いている者を審判として同席させていただく」
「・・・・・」
「その結果により今後のことを考えたいと思うが、いかがかな?お二方」
『お二方』というのは産屋敷家当主と縁壱に向けられた言葉だ。
主の様子を窺えば笑みを浮かべて頷いてくれる。
「承知した、私自身まだ若輩ではございますがそのお役目、お引き受けいたします。皆様のご期待に副えるよう尽力いたします」
縁壱は五家の当主に頭を下げた。
彼の返答を聞き、彼らも安心したように頷いた。