第74話 日輪と月光
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「?」
眉間を押さえて自問自答している縁壱はある物を見つけた。
「これは――、組み紐・・・」
何種類かの細い紐で編まれている小さい組み紐だった、おそらくあの女性が気づかずに置いて行ってしまったものだろう。
縁壱は組み紐を拾うが困ってしまう、なにせ自分は彼女がどこの誰かは知らない。
服装も(戦国時代の)普通の娘がする装いではなかった、おそらくは忍びにものだ。
とすればどこかの武家に仕えているのかもしれない。
しかし戦国の世には下級から上まで武家はいくらでもいる今の縁壱では探しようもない。
困った末に『預かる』という形で持ち帰ることにした、また出会える期待は考えずに・・・。
ところがその機会は意外にもすぐに訪れた。
ある時、五大呪術家の五家の当主たちが産屋敷家に柱を含めて召集をかけてほしいと手紙を寄こしてきたのだ。
そこには何故か自分も同席してほしいと書かれている。
五大呪術家の存在は自身の主である産屋敷家当主より聞いていた。
鎌倉時代より協定を結び、五百数年関係を保ってきた心強き味方だと。
その当主たちが揃って産屋敷家当主、柱、そして自分へ召集をかけるとはどういう事だろうかと思ったが、理由は召集当日に判明した。
「率直に言わせていただく。
ご当主、そなたは我々との約束事を反故にされる気か?」
炎羅門焔家の当主が産屋敷家当主の顔を睨んで言い放った。
「反故というのはどういうことだろうか?」
「とぼけられるな、我が一族とそなたの家との間に設けられた約束事の一つに『陰陽術を伝授する代わりに産屋敷家から剣士を輩出すること』とある」
約定の書かれている書状を突き出す焔家当主、協定相手の産屋敷家当主に詰問している。
しかしそんな中、縁壱は五家の長を各々見ていた。焔家当主、黒鉄家当主、香炉家当主、岩倉家当主、海野家当主、各々護衛もを一人連れてその場に座している・・・一番年長であるのが今、主に詰め寄っている焔家の当主であるが他の三家の当主もそこそこの年齢に見える長達。一番若いのは海野家の当主だ、年齢も自分とそこまで違わないだろう。
『こんな若さで長を務めるのか』と感心していたのも束の間、彼の背後に見覚えのある人物を発見した。
仮面と頭巾を被っているが間違いない、その髪の色には見覚えがあった。あの印象に残る髪色をしている人間はそうはいないだろう。
「まあ、少し落ち着かれよ。焔家御当主」
そこへ岩倉家の当主が制止に入る。
「そう詰め寄られてはあちらも答えることができぬであろう、今少し落ち着かれよ」
そう言うと約定書を取り上げる。
「(産屋敷家)ご当主殿、我々は今まで御家から託された剣士たちに可能な限り術を伝えてきた。
だが、現在それが変わりつつあるのだ。理由は御分かりでしょうな?」
にこやかな顔はしているが少し口調がきつくなる岩倉家当主。
「そこにいる継国縁壱と名乗る剣士、その者が鬼殺隊に加わったことにより『呼吸』という新たな戦闘方法を剣士たちに伝授していると聞く。
さらに『呼吸』の戦闘訓練の方が体得がしやすく実践向きであると耳にする。
そのため我ら一門に輩出される剣士の人数が減ってきてしまっているのだ。
我らとしては協定を結んで以来五百数年継続してきたことが破られた気持ちなのだ。
そこで今後、継国縁壱殿を鬼殺隊に在籍させるのであれば我ら一門とのことはどうするのか話し合っておきたい。
それが今回、そなたと柱の方々、そして継国縁壱殿にお集まりいただいた理由だ」
「お話の場を設けていただき感謝いたします、皆様」
産屋敷家当主は深々と頭を下げた。
「このことは私も近々皆様ともお話しなけらばならないと感じていたことです。
現状、岩倉家御当主の仰ったように柱や隊士たちの様子から『呼吸』の訓練の方が実戦での効果が期待できると感じております。
私としてはこのまま縁壱には『呼吸』の訓練を続けて欲しいと考えています。
もちろん我が家から剣士をそちらに輩出することも考えております」
「だが、現実追いついてはいないではないか。こちらで引き取ったはいいものの中には『呼吸の型の訓練がしたい』とぼやく輩がいる有様だ。これでは我が一門の面目が潰されているも同然だ」
焔家当主の発言に各々の長も同じ考えを持っているのはたしかである。
ただでさえ鬼狩りという特殊な技能を持つ者は人手不足なのだ、これ以上人が育たなければ鬼殺隊が解散してしまい兼ねない。
そこへある人物が声を発した。
「御当主の皆様、この場にて申し上げたいことがございます。発言の許可をいただけないでしょうか?」
それは仮面をつけた海野家の側近の彼女だった。