第73話 海野家の闇
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「すまない、私と笙、歌津羅殿の判断で五家の当主と身近の一部の者だけにしか知らせていなかった。
アカリ殿に至っては遊廓の時にはまだ痣者とは断定できなかったのでね」
晴哉が申し訳なさそうに話していた。
遊廓の任務で妖化の兆候が見られたのは三人全員だが痣の確認が取れたのは霧香と琴乃だけだった。
不確かな情報での混乱を防ぐために敢えて伏せておくことにしたのだ。
「そして今回、刀鍛冶の里での上弦の肆と伍との戦いで三人の妖化が進み、初代様や三百年前のご先祖様たちの姿に近くなりつつある。
そして極めつけは・・・・霧香の日輪刀が『白い刃』になったことだ」
「白い刃・・・」
「誠ですか・・・?」
それを聞いて益々顔色が変わる黒椎と紅虎。
「ああ、日輪刀は『色替わりの刀』だ。使い手によって刃の色が変わる。
だが、上弦の肆にトドメを刺した霧香の刃は通常の白銀ではなかった。
『まっさらの白い刃』だったと五大呪術家の密偵から報告を受けた」
「「・・・・・」」
「ここまで来ては、もう否定はできまい。すべては縁だ・・・そして夜霧様の事と我々の関係はここにおられる方々には既に話してある」
「「・・・・・」」
「・・・・・・」
黒椎と紅虎の表情が曇り俯く、津雲は視界の端にそれを確認した。
「その時がきたのだ。津雲、黒椎、紅虎・・・・そなたらが見たこと、聞いたことを我々の前で話してくれ」
「「・・・・・」」
覚悟はしていた、そのつもりだった・・・だが、それが来てしまうとは。
黒椎と紅虎とってはあの記憶は今でも鮮明に覚えている、自分たちにとって彼女は特別だったのだから。
「黒椎、紅虎」
「「・・・・・」」
「主らも少しは肩の荷を下ろすといい」
「オヤジさん・・・」
「津雲殿・・・」
「夜霧との日々を大切にしていたのは儂も知っている、だがなそれがお前たちの重荷になることはあの子も望んではおらん。
今の海野家はお前たちが繋いだ命でもあるのだ、そして安岐もあの子もお前たちが繋いだ命じゃ。
夜霧のしたことは責められる一端ではあった、だが繋いだ命はあの子が倒したかったあの男を追いつめる力となっている」
「「・・・・・」」
「儂も共に語る、お前たちも彼らに語るといい、あの子(夜霧)は間違ってはいなかったことな」
津雲に言われ、先程まで打ち明けるのを躊躇っていた黒椎と紅虎だがようやく踏ん切りがついたようだ。
「産屋敷現当主殿、奥方、そして柱の方々、これより我らの口から海野夜霧、そして現在の海野家になるまでの事を知りうる限りお話する。どうかお聞きくだされ」
「よろしくお願いいたしまする」
あまねが津雲の方に体を向ける、すると柱たちも同様に津雲たちの方に体を向けた。
「感謝申し上げる。
まずは先達て瀬津寿と安岐からお聞きの夜霧の事についてお話しよう。
あの子は今より三百数年前に第四代目当主の第二子として生まれた。
五大呪術家は妖の血を宿している故に寿命が普通の人間よりも永いのは皆、ご承知かと思う。
海野家は現当主である晴哉の時点で九代目になる」
「では五代前のご当主様のご息女だったということですね」
「左様、今でこそ六十、七十で寿命を迎えている五大呪術家であるが三百数年前では寿命は尽きるのは短くとも百五十歳弱であった。当主を引退しても数十年は生きておった」
この時点で『マジか!?』と思った柱一同。
「夜霧はそんな中でも三十数年という短い人生であった。
夜霧は兄が一人おった、名前を冬寿(ふゆとし)という。
第一子で男児ということもあり、後継ぎとして一族総出で術を仕込んだ。そして長女で第二子の夜霧が生まれた。
しかしあの子は生まれながらにして数奇な運命を背負う子であった。
まず赤ん坊の頃から目が妖の色であった」
「妖の色?」
「うむ・・・人間と交わる度に黒い色に近くなりつつあった海野家だが、夜霧は『透き通るような青い瞳』をして生まれて来たのだ。髪も最初は黒かったものが成長していくにつれて夜の空のような藍色になっていった、そして毛先が雪のように白くなった。
それは紛れもなく夜霧の時代よりも前、五百年前の初代の海野家の者たちの姿に近しいものだった。
あの時は『どうして今になって初代の鬼狩りに似た赤子が生まれたのか』と海野家の間ではざわついていたものだ。
そして夜霧は陰陽術の才能にも優れていた特に厄払いの能力はずば抜けていた。
兄の冬寿はどちらかと言えば占い、『先を読む能力』に長けていたから儂からみれば兄妹各々特化した武器を持っていたからいい塩梅だと思っていた。
だが当時の当主、つまり二人の父親がそれを許さなかった」
津雲の顔が徐々に歪んでいく。