第72話 決断
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「あまね様、そのことについては主人に変わり私がお話をさせていただきます。
皆様、ご紹介が遅れまして申し訳ございません。海野家前当主の妻・安岐でございます、以後お見知りおきくださいませ」
安岐が進行役の代行を申し出てきた、柱の面々に丁寧にあいさつをしたものの彼女の顔にいつもの和やかさはない。
「これからお話することは私たちの子供たちにも関係することです。
ここにいる皆様方、奥方様、輝哉様の胸の内に留めていただき、他の隊士に公表することは固く禁じることをお約束していただきたいのです」
「その出来事はそれほどまでに厳重に機密事項として取り上げられていることなのですか?」
「はい、もしこのことが鬼舞辻や上弦の鬼に知られれば産屋敷家、鬼殺隊、五大呪術家の全てが危険に晒されることになります」
安岐の真剣の言葉にあまねは娘を振り返り、輝哉の反応を見た。
娘は父の反応を見て母であるあまねに『詳細を聞くように』と伝えられた。
「わかりました、安岐様。これからお話いただくことはここにいる者達によって厳重に守らせていただきます」
「ありがとうございます。
少し長小場にありますが皆様、お付き合いくださいませ。
皆様もご存知の通り、産屋敷家と五大呪術家は千年もの間、交流をし、鬼殺隊を立ち上げ、鬼舞辻無惨に対抗すべく力を付けてきました。
その際の約定に『戦闘時での陰陽術の助力』、『五大呪術家で製造されている物資を鬼殺隊にも配給すること』、そして『鬼殺隊に五大呪術家は跡取りを除いて最低でも一人は育手の元へ子供を輩出すること』を上げられ了承し、今日に至ります。
ですが鬼殺隊設立当初の約定書と現在の約定書では一部異なる事項があることがわまりました」
「異なる事項?」
「はい、五大呪術家の子供を鬼殺隊に入隊させるために育手の元にやること。
これは戦国時代に改定されたものでした。
本来は『五大呪術家の技術を教える代わりに産屋敷家から腕の立つ剣士をこちら(呪術家)側に輩出する』という約束でした」
これは華陽隊の面々も寝耳に水のことだ、まさか戦国時代に約定の一部が改定されていたとは。
「そのきっかけを作ったのが戦国時代の始まりの呼吸の剣士たちの開祖で日の呼吸の使い手である継国縁壱です。
皆様が現在使用している呼吸の原形の剣士といってもいいでしょう。
継国縁壱が現れ、鬼殺隊の隊士、柱たちに呼吸を教えたことにより事態が一変したのです。
本来ならば陰陽術を伝授するために産屋敷家から剣士を募っていたのが、呼吸の修練をし始めてから産屋敷家から来る剣士の数は激的に減りました。
それに激怒した私たち五大呪術家の先祖は産屋敷家に抗議をしに行きました。
『約定違反』だと、『もしこのまま剣士の輩出をしないならば協定は白紙に戻させてもらう』とまで大騒ぎになったそうです」
「そのことでしたら我が家にも記録がございました、歴代の産屋敷家の当主が書き記した日誌にそれらしき文章が書かれていました」
「はい、このことについては産屋敷のみならず我が五大呪術家にも記録は残されております。
先祖たちが怒り心頭な所へ助け船を出したのは一人の女性でした」
「女性?」
「海野夜霧様、我が海野家出身の女性であり、呪術家主体の鬼狩り・水龍の精鋭でした。
この女性が『産屋敷家から剣士を輩出するのではなく五大呪術家から子供を輩出しよう』と進言したのです。
当時、中立であり、産屋敷家と五大呪術家がどちらが上という立場を作らないことを定めていました。
しかし『呼吸』という新しい戦闘技術を手に入れ、尚且つそちらの方が無理なく体得できる剣士が多く出たため両者の家の間に少し溝ができてしまったのです。
夜霧様はこれ以上長引かせては両家が築いてきた信頼関係も壊れてしまうと思い、約定の一部を改定することを進言しました。
それが今の約定書に記されている『跡取りを除き、最低でも一人は育手の元に弟子入りをさせて最終選別を受けさせること』です。
陰陽術の体得は本家でも才ある者以外はなかなか難しく途方に暮れていました。
新しい道を作ってやることは今後の呪術家の子供たちにとっても少なからず安心するのではないかと考えたのかと思います。
彼女の説得もあり、約定の変更に伴い、最初は跡取りを除外した子供たち。そして種の子供たちにも声がかけられ、継国縁壱や日の呼吸から新しい呼吸を派生させた剣士たちに弟子入り、腕を磨いていきました」
一つ間違えれば協定自体が無くなっていたかもしれないことを聞かされ、一同は安心した。五大呪術家からの物資は良質で香炉家の医術には毎度助けられているからだ。
本当に『決裂』ということにならなくてよかった。
「夜霧様は進言者ということもあり、剣士たちと五大呪術家の鬼狩りの仲介役も担っていました。ですが・・・予想外のことが起きました」
「予想外?」
「剣士の一人と夜霧様が恋仲となり、子供を儲けたのです」
安岐の言葉に場が困惑する。
それもそのはず、いかに名門といわれる一族であろうと余程の事がない限り、身内であろうとなかろうと夫婦になり子孫を残すことは問題はないからである。