第72話 決断
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「その通り・・・まずお伝えすることの一つが『痣者』のことについて」
『痣者』という言葉を聞いて柱はもちろんあまねも反応する。
「今より三百年前、戦国時代に実在した始まりの呼吸の剣士たちの話は皆々様御存知と思われるが、その記録は我ら五大呪術家にも伝わっている。
詳細は輝哉殿の容態を踏まえて敢えて省かせていただくが、此度の刀鍛冶の里の件で恋柱殿、霞柱殿にも『痣』が発現したとお聞きした。よってこちらもこの場で御報せをさせていただく。
我が一族でも『痣』が発現した者がいる、その兆候は音柱殿が主体で指揮を執った遊廓の任務からだと思われる」
ここまで言うと柱の視線が一斉に華陽隊に向けられる。
「まさか・・・」
「お察しの通り、華陽隊の三名全員が『痣者』になった」
少しの間沈黙が流れる。
「だが・・・、それはただ能力が目覚めたってだけじゃないのか?であれば何の問題もないだろうが」
「不死川様、言葉にお気を付けください」
「良い良い、いつもの話し方で結構。私も変に気を遣われるよりそちらの方が良い」
諫めるあまねに手をひらひらさせて微笑む瀬津寿。
「風柱殿、確かにそなたが言うことも最もだ。
『鬼に対抗する能力の開花』といえば良い事だろう、だが『力』というのは時として使う者の体をどのように変化させてしまうかわからないものだ。
それは鬼舞辻無惨が良い例えではないだろうか?」
そう言われてしまえば否定はできない。
「『呼吸』も『陰陽術』も絶対なんてものはないのだ、『痣』もまた然り、霧香たちを皮切りに恋柱殿、霞柱殿も新たな力を発現させた。
身体能力が飛躍的に上昇したことは喜ばしい、だが大きな力が体に及ぼす効果は後々思いがけないものになって返ってくるとも限らない。
そのために今の時点で痣者になっている方、そしてこれから出てくるであろう『痣者』の方たちのために五大呪術家からお願いがある」
「お願い・・・ですか?」
「うむ・・・ある薬を定期的に投与してほしい」
「薬?何の薬ですか?」
胡蝶しのぶが問いかける。
「痣者の体内の細胞の活動を穏やかにする薬だ、飛躍的に向上したとはいえ体には無意識にも負荷がかかる。
五大呪術家、特に海野家では香炉家とも協力してこの三百年、ずっとその研究をしてきた。新たな力を得た際には体が無理をしない様に、的確に処置をできるように」
「その薬の詳細、後程拝見してもよろしいでしょうか?
呪術家の皆様の研究を疑っているわけではありません、ですが私は鬼殺隊隊士たち、柱の方たちの体のことを一任されています」
「蟲柱殿か、もちろんだ。この会議の後、香炉家の方々と海野家で主体で動いている種たちを蝶屋敷に向かわせよう。
そなたが鬼殺隊の皆を大事に思う気持ちと注意深くなる気持ちもわかる」
「ありがとうございます」
「あまね殿、話を進めて申し訳ない。
だがそなたも痣者の体がどうなるかは記録を見て知っているはずだ。
鬼舞辻を追い込んでいる今のこの状況で他の隊士たちを引っ張っていく柱たちにもしものことがあってはならない」
「はい」
「輝哉殿はいかがか?」
少し襖を開けている輝哉の部屋の前に座っている娘に問いかける瀬津寿。
「父も頷いております」
「うむ、では蟲柱殿が内容を確認、説明を受けた後、恋柱殿、霞柱殿にはすぐに薬をお渡しする故、その場で飲まれよ」
瀬津寿の言葉に頷く二人。
「そしてお伝えするもう一つのことだが・・・これは五大呪術家で唯一産屋敷家と共有していなかったことできごとだ」
「我が家とも共有していなかったこと?どういうことなのですか?瀬津寿殿」
「・・・・・」
あまねの少し問い詰めるような口調に表情が暗くなる瀬津寿。