第71話 よかったね
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―― 炭治郎さん、十二鬼月と禰豆子さんの血を提供し、研究に協力してくださってありがとう ――
上記の綴りから始め、炭治郎に手紙を認めているのは珠世。
鬼であるが鬼舞辻の呪縛から解き放たれた唯一の存在で、現在は少量の血を摂取することで現在まで生き永らえてきた。
彼女の助手をしている愈史郎もその一人である。
炭治郎とは浅草で出会い、同じ鬼舞辻無惨を倒したい志を持っていることに感銘を受け、更に彼が妹を人間に戻したいという気持ちを汲み取り、協力を申し出た。
そして炭治郎が今までの戦闘で収集した十二鬼月の血液と禰豆子の血液を定期的に珠世に送っていたのだ。
―― 浅草で無惨に鬼化させられた男性が自我を取り戻しました。
禰豆子さんの血のおかげです、無惨の支配からも解放され、少量の血で生きていられる。
禰豆子さんの血の変化には驚いています、この短期間で血の成分が何度も変化している ――
珠世は受け取った十二鬼月の血液と禰豆子の成分を比較しながら少しずつ研究を進めていたが、禰豆子の血液は何度も細胞が変化している。
―― 炭治郎さん、私はずっと考えていました。禰豆子さんが未だに自がを取り戻さず、幼子のような状態でいることの理由を・・・。
それは彼女の中では自我を取り戻すよりも重要なことで優先すべきことなのではないのかと―――・・・そしてこれは私の完全なる憶測ですが ――
手紙の最後にはこの一文が認められていた。
―― 禰豆子さんは近いうちに太陽を克服すると思います ――
――――――――――――
「・・・・・・」
炭治郎の隣りに立っている禰豆子を見て驚愕の表情の霧香。
「禰豆子・・・ちゃん・・・」
彼女は今、しっかりと陽光の下に立っている。灼けただれることもなくそのままの姿で――・・・。
「霧香さんっ・・・!禰豆子は助かったんです!助かったんですよっ・・・!」
炭治郎はもはや涙で鼻声になっている。
霧香は痛みを我慢して起き上がると禰豆子に歩み寄る。
頭に触れ、頬に触れ、彼女の存在を確かめる。
「お・・・」
「?」
「お、おはよう・・・」
「!」
たどたどしくも話す禰豆子。
「禰豆子ちゃん・・・本当にっ、大丈夫なんだね?」
「うん・・・だい・・・だいじょうぶ」
ニッコリと笑いかけてくる禰豆子。
「つっ!!」
霧香は次の瞬間、禰豆子を強く抱き締めていた、喜びの泣き声を上げて抱きしめていた。
「うわあああぁぁっ!!よかった!!よかったあ~~!!」
「よ、よかった、ね」
「うんうんっ・・・禰豆子っ、よかった・・・!!本当に生きてて嬉しいよっ!!」
霧香の様子に周囲も涙ぐんでいる。
「霧香さんっ・・・」
そこへ炭治郎もへろへろになりながら歩み寄ってくる。
「炭治郎・・・おいで」
左手に禰豆子、右手で炭治郎を抱き締める。
「二人とも・・・頑張ったね、偉かったよっ・・・!!何より・・・生きていてくれたことが、私は嬉しいっ・・・」
「グズッ・・・俺もですっ・・・!霧香さんも、禰豆子も助かって・・・、本当によかったあぁぁ~~・・・!!」
三人の様子を見て、助けられた鍛冶師たちももらい泣き状態。
「三人とも、ありがとうなあ!俺たちのために・・・、禰豆子ちゃんが死んでたら申し訳が立たなかったぜ!」
里の鍛冶師がそう言うが、見たところ目も牙も鬼であったときと変わらない。つまり人間に戻ったのではないのは明らかだ。
だが今、そのことは二人の頭にはなかった。ただただ妹が生きていてくれたことが嬉しいのだ。
「・・・・・」
その様子を崖から降りきった玄弥も見ていた。
彼は柔らかい笑みを浮かべた。
「良かったな・・・炭治郎、霧香、禰豆子」
今回の戦いで玄弥にも何かしらの変化があったに違いない。