間章 偽鬼の誕生
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「滑稽だ」
「・・・・・」
無惨が動き出して数か月後の夜、一人の男が屋敷に現れた。
「何だ?お前は?」
無惨は勝手に屋敷の庭に入ってきた男を睨む。
「滑稽だ、お前は」
「何?」
「人の理を無視し、あまつさえ他の人命をも無視する・・・『悪鬼』と言われるのも仕方のないことだ」
「・・・・・」
男の少し口角を上げ、ゆっくりと丁寧に紡ぐ言葉が癪に障る。
「何度、身分や顔、名を変えたのか・・・本当に己自身がわからなくなっているようだ」
「貴様・・・先ほどから名乗りもせずに何を話している?」
「清明」
「何?」
「安倍晴明だ」
「!?」
安倍晴明、帝の信頼する陰陽師だ。
出世は遅かったものの持ち前の霊力などで幼少期に百鬼夜行を見たことができ、邪気祓いを数多く成し遂げおり、また天文学や占いなども請け負う才能も持ち合わせている。
しかし出自に関しては謎が多く、本人も語ることはないという。
噂では二親の片方が妖狐(白狐)なのではないかとささやかれているほどだ。
〈この男が・・・〉
無惨は上から下まで清明をじーっと見ていた、第一印象は『気に入らない』だった。
そう、自分よりも年下の小僧(見た目は成人)なのだが何もかも見透かされているような目が、話し方が気に入らないのだ。
「人の理を捻じ曲げてでも生き延びたいか・・・お前は弱いな」
「!」
清明の言葉にカッと無惨の目が開かれる。
「善意で治療をしていた『あの医者』も不憫だな、患者に殺されるとは」
「つっ――・・・!」
自分が殺した医者のことまで話し始めた。
「『医は仁術』というがあの医者は節介が過ぎたのかもしれぬな」
「・・・っ」
無惨がわなわなと震え、拳を強く握り締める。
「さもなければ、このような悪鬼を世に生み出すことも無かったであろうに」
「き、貴様っ」
無惨が清明に飛びかかろうとしたとき、何かに弾かれた。
「つっ!?」
「そのような汚れた身で清明に触れるな」
女だった、しかし人間ではない。
何故なら女は水の蛇を操っていたからだ。
「滝夜叉姫」
「清明、興が過ぎるぞ。いくらそなたでもこのような悪鬼の館に単身で赴くとは」
「でもお前がついて来ていた、だから安心して私はここに入れた」
清明の言葉に女はため息をついた。
「何者だ?女」
「薄汚れた悪鬼に名乗る名などない」
「滝夜叉姫、私の妻だ」
否定するもあっさりと紹介してしまった清明。
「清明・・・」
「良いではないか、この男には今後、一生持つことができぬものだ」
ニッと意味深に笑う清明。
「お前は人を喰らう、ならば妻を娶ることなど生涯できぬであろうよ」
「ふむ、確かにな。もしや既に娶った妻も喰うておるかもしれんな」
蛇を撫でながら清明の言葉に乗っかってくる滝夜叉姫。
だが無惨が驚いたのはそこではない、自分を見物にきた清明が人外の者を連れている。それがまた癪に障るのだ。