第69話 隠れた逸材
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「往生際の悪いっ――・・・」
霧香が駆け出す。
「アアア!!追ってくるなァァ!!」
本体は追いかけてくる霧香に涙を流しながら叫ぶ。
「何故儂をイジメるのじゃ!こんなに弱い儂を追い回す!!止めてくれ!止めてくれぇ!!」
「つっ」
本体の言葉に霧香の体温が上昇する。
「逃げ切れるはずなどないだろうが!!お前たちが!!
あの男が今まで犯した罪から!業から!逃れられるわけがない!!
償え!!まずは己の犯した悪行を!!奪った命の代償を己の全てで償え!!この責任逃れの卑怯者が!!」
「!」
『貴様のしたことは他の誰でもない・・・貴様が責任を取れ、この二枚舌の大嘘つきめ』
本体の脳裏に人間だった頃に言われた言葉が過る。
〈嘘つきだと・・・、儂はっ・・儂は!生まれてから一度たりとも嘘など吐いたことがない!善良な弱者だ!これほど可哀想なのに、誰も分かってくれない!!誰も同情しない!!〉
本体の目は見開かれ大粒の涙を零しながら発狂する。
「何故じゃあァァ!!何故、誰も分かってくれないィィ!!儂は悪くないィィ!!」
その時だ。
「――・・んのっ、いい加減にしやがれ!!バカタレェェェェ!!」
「!」
玄弥が樹木を抱えて根元から引き抜くと本体目掛けて投げ始めた。
「ガアアアア!!クソがァァァ!!」
「・・・・・」
これには先ほど怒声を上げた霧香も一瞬スンとなってしまうほどだった。
「いい加減死んどけお前っ!!空気を・・・読めえええ!!」
〈ええ――・・・??〉
確かに本体にはそろそろ逃げるのを諦めて欲しいが全身全霊を込めて言った玄弥に少しだけ霧香は引いてしまった。
「ギャアア!!」
玄弥の投げた樹木に行き場を塞がれる本体、そこへ禰豆子が攻撃する。
「ヒイイイ!!」
それも躱して本体はスタコラと素早く逃げていく。
「足速ェェ!!何なんだアイツ!クソがァアア!!追い付けねぇええ!!」
小さい上に逃げ足も速い、おそらく蜜璃と琴乃が潰れるまで逃げる気だ。
しかしそんなことはさせない、させて堪るものか、そうなれば繋いでくれた者達の気持ちを踏みにじってしまう。
「つっ・・・!」
だがそんな気持ちとは裏腹に体は徐々に鈍くなってきている、妖怪の血も元々受け継いでいたものだとしてもいきなりその能力を使おうとすれば体にかかる負荷は大きい。
〈動けっ!まだ止まるな!!〉
まだこれからだ、上弦の鬼たちとの戦いはあの男との決戦の前段階。こんなところでへこたれてはいられないのだ。
〈何のために今まで鍛えてきた?何のために呼吸を体得して、実践を潜り抜け、この場まできた?〉
姉の婚儀が鬼に襲撃され、兄と尊敬していた勇翔を鬼にされ、姉弟子の真菰と肩を並べていくこともできず・・・何もできなかった自分が憎い、悔しい。
己の力不足も己の大切な人の全てを奪う鬼が憎い、あの男が憎い。
津雲、紅虎、黒椎、響凱など望まぬ鬼を造り出し、自分の駒としてでしか扱わないあの男が憎い。
同士を同士とも思わず、弱者を甚振る者が千年以上も生きているなど、誰が許せようか・・・。