第69話 隠れた逸材
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「本体を斬るって・・・お前、場所はわかるのか!?」
「わかる!」
木の竜が霧香たちに攻撃している最中、本体の『怯』の鬼を覆った木の繭は地に根を張って移動している。
薄暗い森の中、視覚で痕跡を捕らえるのは難しい。
でも霧香には邪気が視えていた、妖化が進行していくのと同時に五感がさらに研ぎ澄まされたようになっていく。
周りの木々や虫、鳥などの生物たちの気が目視できるようになっていた。
それ故、地を這って逃げて行った木の繭の痕跡も目で辿ることが可能だった。
「あれだ!」
木の繭はまだ動いている、逃げ続けている。
「行くぞ、禰豆子!玄弥!」
「ムウ!」
「おう!」
三人が繭に飛びかかった、しかし繭はうねりながら三人を振り落とそうとする。
「ぐああああ!!頑張れ!しがみ付くんだ!!振り落とされるな!!」
蔦や窪みを掴んで揺さぶられるのに耐えている。
「甘露寺さんや琴乃さんが止めてくれている間に!!木の・・・アレ、ヘビトカゲ竜みたいなのがこっちに来ないうちに!!」
「つっ・・・」
霧香も外側から攻撃しようとするがこう激しく動かれては下手に動けない。
〈くそォっ!!こんな状態じゃ刀も振れねぇじゃねーか!!〉
すると玄弥が木の繭に噛み付いた、しかもバリボリと音を立てて皮を噛み切り、中の肉らしきものを食っている。
「玄弥!?」
炭治郎もびっくりだ。
「お腹壊さないか!?大丈夫なのか!玄弥!!」
「玄弥くん・・・」
しかし霧香は別の意味で驚いていた、彼がしているのは謂わば鬼と逆のことだ。
―― 鬼喰い ――
不死川玄弥は鬼を喰うことにより、一時的たが鬼の体質になれる。
強い鬼を喰えばそれだけ再生力も上がる、筋力も上がる。
〈だから人間の臭いが劇的に鬼に近くなったのか!鬼を喰っていたから!〉
哀絶を斬った時の彼の豹変の謎がようやくわかった、彼は鬼を定期的に喰っていたため鬼のような能力を身に着けたのだ。
しかしこれは玄弥自身の苦肉の策でもあった、身体能力も低く、呼吸も会得できなかった彼が『柱に近づくため』に動いた唯一の手段だった。
〈でも・・・誰でもできることじゃない!鬼を取り込んだ人間がこんなに動けるわけがない!
鬼の肉は毒と同じ、人間の体に簡単に馴染むわけがない!〉
そう考えると玄弥もまた特異体質なのだ。
優れた咬合力と特殊な消化器官により短時間で人間でありながら鬼化を可能にした。鬼殺隊唯一の逸材だ、隠れた才能だろう。
憎珀天の細胞を摂取して劇的に筋力が上がった玄弥により木の繭が根っこから引き千切られる。
尽かさず炭治郎が繭玉を斬ろうとするが、枝の鞭がそれをさせまいと抵抗してくる。
「鬱陶しい!!」
炭治郎と繭の間に入った霧香が向かってくる枝の鞭を斬り落とす。
「ううう!!」
そして禰豆子が己の血を繭玉に浴びせて爆ぜさせる。
「禰豆子!」
炭治郎の刀も再び燃え上がった。
〈よしっ!いける!!〉
刀を振りかぶった炭治郎。
―― ヒノカミ神楽・炎舞 ――
繭玉が炭治郎の技で割られる、そして禰豆子と玄弥が左右から外側に引っ張り引き裂いた。
「やれ!!炭治郎!!」
「!」
中にいるであろう本体を斬ろうとするが――・・・。
「いない!!」
「あっちだ!」
「「「!」」」
見ればいつの間にか本体が繭玉から逃げ出している。
「ヒイイ!!」
悲鳴を上げて逃げる。