第68話 甘露寺蜜璃の走馬灯
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「君と結婚できるのなんて熊か猪か牛でしょう、そのおかしな頭の色も子供に遺伝したらと思うとゾッとします」
この言葉は甘露寺蜜璃が鬼殺隊に入る前にお見合いである男性に言われたものだ。
女性に対して失礼すぎる言葉だが、彼女には相手にその言葉を言わせるそれ相応の理由があったのだ。
甘露寺蜜璃は一見、普通の成人女性に見えるものの実は筋肉の密度が常人の八倍あるのだ。
通常であればムキムキマッチョな体格を思い浮かべると思うが彼女は普通の体格で常人の八倍もの力が出せる。
天性の特異体質である、一歳二ヶ月の頃に弟を身籠っている母を気遣い、四貫(およそ12~13㎏)の重さの漬物石を持ち上げたのだ。これには肝が据わっていると評判だった蜜璃の母も腰を抜かしていた。
そして彼女はよく食べた、里の宿で炭治郎たちと食事していた時もそうだが、幼少の頃から彼女はよく食べた。
相撲取り三人よりもまだ食べるほどの胃袋の持ち主、そして彼女の髪の色は元々は黒髪だったがある日、桜餅を食べ過ぎたことによって桃色と黄緑色が混じった奇妙な色になった。
彼女は見合い相手が告げた言葉によって『自分を隠す』ことを決めた。
桜餅色の髪も黒く染めて、食べたいのをぐっと堪えて、たくさん嘘もついた。
人よりも筋肉が八倍もあることをひたすら隠して大人しくおしとやかな女性を演じた。家族が心配しても彼女はそれを続けた。
―― 嫌われたくない ――
その想いで一杯だった。
そしてその甲斐も『自分と結婚したい』と言ってくれる男性が現れた。
しかし、ここで蜜璃はふと考えてしまった。
自分は一生このままなのかと――・・・。
人よりも力が強いのも、人よりも多く食べることも、人よりも変わった髪の色も・・・全部本当の自分なのに。
偽りの自分でこの先、自分のことを理解してほしい伴侶にも嘘をついて生きていくのか?ありのままの自分で居続けて、その自分を愛してくれる人ははたして本当にいないのだろうか?
――――――――――――
「!?」
気が付くと蜜璃は炭治郎、禰豆子、玄弥によって抱えられていた。
「禰豆子!玄弥!甘露寺さんを守るんだ!」
「わかってるっつーの!(怒)」
〈あれ・・・私、意識・・飛ばして・・・〉
どうやら憎珀天の攻撃を受けたことで一瞬気を飛ばしていたようだ。
「琴乃さんが止めてくれている間、少しでも距離を取るんだ!!」
〈琴乃ちゃんっ・・・!〉
そして一緒に戦っていた琴乃の存在を思い出す、彼女の方を見れば―――・・・。
「放せ、小娘」
「あら、駄目よ・・・甘露寺様の言う通り、おイタをする子にはお仕置きしなくちゃ」
そう言うと琴乃は自分の掴んでいた憎珀天の右腕を引きちぎった。
「つっ!」
「鬼の子には普通のお仕置きじゃ効果がないでしょ?」
次に左手を引きちぎるとそのまま拳を憎珀天の顔面めがけて打ち込んだ。
「権現門流――・・・『金剛百連骨砕(こんごうひゃくれんこつさい)』」
素早い連続の拳が憎珀天に打ち込まれる。
『百連骨砕』とは『百の連続拳によって骨を砕く』という技だ、名前の通りなのだが、琴乃の場合は『剛力』の持ち主。
数百年に一度の逸材であるためその力は捌倍娘の蜜璃以上の筋力、そんな攻撃を百発も浴びれば普通の人間なら死んでいる上に原形もわからなくなるほどぐしゃぐしゃになっているほどだ。
しかし相手は『鬼』だ、百発浴びたところで形は崩れても死にはしないだろう。