第66話 朧月夜
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「・・・・・」
玉壺へ向かおうとしているアカリを無一郎は止めた。
「アカリ、君はここにいて」
「え?しかし――・・・」
「大丈夫」
柄を握る彼女の手を優しく握った。
「俺はもう大丈夫だから」
彼はニッコリと微笑んだ、その表情を見たアカリは自然と柄から手を離していた。
「はい」
「うん、ありがとう」
そう言うと無一郎は玉壺に向かってくる。
「一人で向かってくるとは、愚かな!!
血鬼術――・・・『陣殺魚鱗(じんさつぎょりん)』」
四方八方から体を跳ねさせ、拳を無一郎に突き出してくる。
「さあ、どうだね?私のこの理に反した動きは!
鱗によって自由自在だ、予測は不可能!
私は自然の理に反するのが大好きなのだ!
お前はどう料理してやろうか?醜い頭を捥ぎ取り美しい魚のつけてやろう!!」
無一郎の背後を取った玉壺、勝利を確信した瞬間だった。
「霞の呼吸・漆ノ型―――・・・・」
「!」
木の上で様子を見ていたアカリは目を疑った―――・・・消えた、無一郎が消えたのだ。
動揺したのはアカリだけではない、玉壺もだ。しかし無一郎の姿はすぐに見つけられた、追撃をするもまた見失う。
それからも無一郎が現れては玉壺が攻撃するということを繰り返している。
〈どういうことなの?時透様の残影?
でもそこまで早く動いているようには見えない、何が・・・・起こっているの?〉
二人の戦いを傍観していたアカリにも全く見えない、まるで『霞に巻かれている』ようだ。
「ねえ」
「!」
またふいに無一郎が現れる。
「君はさ・・・何で自分だけが本気じゃないと思ったの?」
ヒュンッ―――・・・
それは一瞬だった。
玉壺の首に衝撃が奔り、視界には無一郎の姿が上下逆さまに見えている。
玉壺は何が起きたのか理解できていない、とにかく自分の前に現れたこの少年を倒さねばと考えるがそれはもうできない。
「お終いだね、さようなら。お前はもう二度と生まれて来なくていいからね」
「!」
そこで初めて自分の頸が斬られ、宙を舞い、地面に転がり落ちたことを理解した。
〈きっ?きっ・・・!!斬らっ・・・斬っ・・・斬られた!?
斬られた斬られた斬られたアアアァァ!!〉
玉壺は受け入れがたい感情に駆り立てられる、こんな十数年しか生きていない子供に自分の頸が斬られた、負けたのだ。
「貴様っ・・・何を、した!?あの技は一体何なのだ!?」
先程の消えては現れる不可解な技を玉壺は説明を求める。
「もう死ぬ君に説明なんて必要ないでしょ」
無一郎が最後に使ったのは霞の呼吸・漆ノ型―――『朧(おぼろ)』
動きに大幅な緩急をつけて敵を錯乱する。
姿を見せる際は亀のように遅く、姿を消す際は瞬き一つの間。
『朧』の速度は上弦の伍の玉壺を上回った、しかもそれが毒に体を侵されての状態で成し遂げたこと故に異常事態であろう。
「くそっ・・・くそオオオ!!!
あってはならぬことだ!!人間の分際で!!この玉壺様の頸をよくもォ!!」
頸だけの玉壺はゴロゴロと見苦しく暴れている。
「悍ましい下等生物めが!!貴様ら百人の命よりも私の方が価値がある、選ばれし!!優れた!!生物なのだ!!
弱く!!生まれたら老いるだけの!!
『つまらぬくだらない命』を私がこの手で!!神の手により高尚な作品にしてやったというのに、この下等な蛆虫共・・・」
そこまで言った玉壺の頸を無一郎がさらに切り裂いた。