第66話 朧月夜
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「「・・・・・」」
玉壺の真の姿を見た二人はただ黙々と彼を見ていた。
「・・・・っ」
「「・・・・・・」」
全くの無反応である。
「何とか言ったらどうなんだ!?この木偶の坊が!!!本当に人の神経を逆撫でする餓鬼どもだな!!!」
「いや・・・何というか、ようやく鬼らしい姿になったというか、気色悪いのは変わらないけど」
「それにさっき黙ってろって言われたし・・・それにそんなに吃驚もしなかった・・・」
ドドドドドドドッ
まだ無一郎が話している最中だというのに攻撃してきた玉壺。
攻撃の痕には先ほどの魚がビチビチと跳ねている。
「『木の上には逃げるな』と己で言わなかったか?面倒なことだのう」
「だって、アンタ単純に臭いし」
「つっ!」
身体に着いた魚をペッペッと落とすアカリ。
「ウツボなのかわかんないけどアンタの臭い、最悪ッ!!鼻が曲がりそう!」
「うげっ・・・」
無一郎も体についた臭いに嫌悪感MAXである。
〈確かにな、生臭せぇ臭いがこっちまで漂ってくるぜ、あー・・・美的センス皆無は全く持って同感意見だ〉
その頃、戦闘が激しくなってきたので研磨途中の鋼鐵塚と自分の鍛造した刀を抱えている鉄穴森を抱えてまた距離を取った笙。
その間も鋼鐵塚は研磨に集中している。
〈鋼鐵塚もその情熱が隊士に伝わねーから不憫だよな・・・まあ、本人の愛情表現が常軌を逸しているからついていけないんだろうけどな〉
鋼鐵塚が今まで担当してきた隊士のことは少なからず知っているので炭治郎のような純真無垢の塊のような少年を見た時は驚いた、心から鋼鐵塚の刀に対する愛情を受け止めようとしている。
〈まあ、鋼鐵塚もそれをわかっているから山籠もりの修行をしたり、今ここで研磨をしてるんだろうな〉
根は純粋な者同士、ある意味鋼鐵塚と炭治郎は似ているのかもしれない。
だから炭治郎は鋼鐵塚を信頼し、何度も依頼をしてくる。そして鋼鐵塚もそれに応えるべくより強い刀を打つための努力を惜しまない。
〈俺もその純粋さを認めている一人ではあるんだがな・・・〉
研磨にはいましばらく時間を要する、それまで彼を守らなければならない。そして自分も霧香と約束した刀を彼女に渡さなければならない。
――――――――――
「どうだね?私のこの神の手の威力は?
拳で触れたものは全て愛くるしい鮮魚となる、そしてこの速さ!!
この体の柔らかくも強靭なバネ、さらには鱗の波打ちにより縦横無尽に自由自在よ」
自分の爪を見て、うっとりしている玉壺。
「フフフ・・・」
「?」
「ん?」
突然笑い出した無一郎を不思議そうに見るアカリと玉壺。
「どんなに凄い攻撃でも当たらなかったら意味ないでしょ」
「・・・・・」
憎まれ口を言っているが彼の目は今までとは違う。
柱合会議やいつも見る虚ろな彼ではない、目には光が宿っている。
無一郎はようやく輝哉の言っていることが理解できた。
『確固たる自分』があれば両の足を力一杯踏ん張れる。
自分が何者なのかわかれば迷いも、戸惑いも、焦燥も消え失せる。振り下ろされる刃から逃れられる鬼はいない。
十一歳のあの蒸し暑い夜、鬼に襲われ、瀕死の状態だった自分。兄の有一郎は残念ながら傷が深かったため失血死してしまった。
兄の体に蛆が湧き、腐っていく光景は今でも覚えている、そして自分の体にも蛆が湧き始めて死を覚悟した。
それを産屋敷家に救われた。
それからは体の回復と共に剣の修練に打ち込んだ、記憶は忘れていても体が覚えている、あの時の贄滾る怒りを・・・死ぬまでは消えない。だから血反吐を吐くほど自分を鍛え上げて鬼殺隊最高幹部である柱に上り詰めた。
全ては―――・・・『鬼を滅ぼすために』、そして鬼によっての犠牲で自分のように悲運の人々を作り出さないために!!