第65話 霞の晴れた先
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「霞の呼吸・陸ノ型――・・・『月の霞消(つきのかしょう)』」
そして無一郎もまた迫ってくる魚たちを己の剣技で全て斬ってしまった。
玉壺はただ唖然としていた、アカリはともかく無一郎は自分の毒針で体が麻痺しているはずなのにこの速度と攻撃範囲、まるで何ともなかったかのように動いている。
「しかし問題はない・・・」
玉壺の血鬼術で毒性があるのはあの金魚だけではない、この魚たちも斬られた際に体内から溢れ、巻き散らかされる粘液もまた有毒である。
先程の金魚の針は体に刺さることで毒が内側に入り込むものだがこの粘液は経皮毒だ。
つまり肌についただけで皮膚の汗腺から体内に吸収されてしまうもの、浴びれば間違いなく終わりだ。
〈さあ、今度は小娘ともどもまた毒に侵され苦しめ!!〉
玉壺はニタリと笑うが無一郎はアカリを自分の側に引き寄せる。
「霞の呼吸・参ノ型――・・・『霞散の飛沫(かさんのしぶき)』」
無一郎は粘液ごと魚を弾き飛ばしてしまった。そして一気に玉壺と距離を詰める。
グッ――・・・
無一郎の刃が玉壺の首に食い込んだ、『スパン!』と頸は斬り落とされた。
だが無一郎は面倒くさそうに木の上を見た。
「避けて木の上に逃げるの止めてくれないかな」
アカリも無一郎の足元を見ると残っているのはベロベロの皮のみ、おそらく先ほど玉壺のだったものだろう。
〈脱皮か・・・〉
続けて木の上に視線を移す、黒くウネウネしたものが木に巻き付き、枝の上からこちらを見下ろしている。
「正直お前たちにこの姿を見せるとは思っていなかった」
愉快そうにの喉を鳴らす。
「ありがたく思え、お前たちに私の真の姿を見せてやる」
「はいはい」
「この姿を見せるのはお前たちで四人目だ」
「結構いるね」
「黙れ、私が本気を出した時、生きていられた者はいない」
「すごいねー」
「でもそれって『人間限定』でしょ?アンタよりも上の鬼は生きてんじゃん」
「口を閉じていろ!馬鹿餓鬼どもが!!」
木陰から少しずつ脱皮した姿を見せる玉壺。
「良く見ろ、この透き通るような鱗は金剛石よりも尚硬く強い、私が壺の中で練り上げた―――・・・この完全なる美しき姿に平伏すがいい」
木陰から出てきた玉壺は先ほどの不安定な体つきではなく、鋭い爪を持ち、体にはビッシリと鱗に覆われている、そして顔にはヒレが垂れ下がっている。
まあ、先程よりも『鬼らしい姿になった』というところだろうか。
続く