第65話 霞の晴れた先
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「・・・・!!」
鉄穴森は涙が止まらない。
「いや、いや・・・私はあなたの最初の刀鍛冶の書きつけ通りに作っただけで・・・」
「そうだったね・・・鉄井戸さん、彼が最初に俺の刀を作ってくれた。
心臓の病気で死んでしまった・・・・」
無一郎は今一度握っている刀に力を少し込めて握ってみる。
〈ああ・・・しっくりくる〉
柱の刀だけに刻印される『悪鬼滅殺』と記された自分の新しい刀は今まで以上に手に馴染んでいる。
『儂は心配だよ、坊や』
かつての鉄井戸との会話を思い出す。
『誰が分かってくれようか、お前さんのことを・・・お前さんがどれだけ手一杯か、どれだけ限り限りと余裕がないか。
物を覚えていられんことの不安がどれだけか、そして血反吐を吐く様な努力を・・・、誰が分かってくれようか』
煙管を吹かした火男の面をした老人が無表情の無一郎に語り掛ける。
『儂はお前さんが使った刀を見ると涙が出てくる。
儂はもう長くない、命を惜しむ歳ではないが・・・どうにもお前さんが気がかりじゃ』
おそらくこの鉄井戸という刀鍛冶は無一郎も無意識に無理な戦い方をしていると感じていたのだろう。
他人を信じず、頼らず、己の力のみで解決する。それではいつか限界がくる、そうなってしまったらまだ人生の長い彼はどうなってしまうのかと。
〈鉄井戸さん、ごめん・・・心配かけたなぁ。だけど俺はもう大丈夫だよ〉
無一郎の頭の中に炭治郎、霧香、アカリ、小鉄、鉄穴森たちの顔が浮かぶ。
〈俺はもう無茶な戦い方はしないよ、仲間がいるから、頼れる人がいるってわかったから―――・・・〉
―― 霞の呼吸・伍ノ型 『霞雲の海(かうんのうみ)』 ――
霞の海に蛸の足が飲み込まれ、次々と切断され玉壺の首の寸前まで迫る。
「素早いみじん切りだが壺の高速移動にはついてこれないようだな」
また壺に身を隠し回避して木の上に逃げた玉壺が嘲るように煽る。
「それはどうかしらね?」
「!」
「芸術家気取りでべらべら話す癖に肝心の感覚は鈍いみたいね。
何百年も生きているからその美的感覚以外にもガタが来ているのかしら?」
「なっ、何!?」
「私の呼吸は雷の呼吸がら派生したの、戦闘速度なら他の誰にも負けないわ」
「!?」
気づけば玉壺の顔が縦半分に割かれ、右半身がダラリと垂れる。
「こ、これはっ――・・・!!」
「光の呼吸・肆ノ型――・・・『天昇撃落(てんしょうげきらく)』
首への入り処はズレたけどいつ斬られたのかわからなかったでしょ?
そもそも私がいつの間にアンタの蛸足から逃れてアンタの真上から攻撃してきたのかも・・・雷や音の呼吸程の派手さはないけれど私の呼吸の速さは華陽隊随一よ!」
「このっ、小娘が―――っ・・・」
「次は斬るわ、私と時透様の刀がお前の頸を刎ねる」
「うん、お前のくだらない壺遊びにいつまでも付き合ってられないしね」
玉壺の両目の歯がギリギリと噛み締められる。
「舐めるなよ、小僧、小娘」
「いや、別に舐めてるわけじゃないよ、事実を言ってるだけ。
どうせ君は僕かアカリに頸を斬られて死ぬんだし、それにね僕、何だが今とても調子がいいんだ」
「奇遇ですね、時透様。私もです、何ででしょうね?」
アカリは自分の変化に気付いていないようだ、彼女の目はいつもの明るい茶色から赤い目になっているのに・・・。
「アレ?アカリ、君、変化に気付いてないの?」
「え?」
「目の色、変わってるよ。赤くなってる」
「そういう時透様こそ、顔に模様が出てますよ」
「え?そうなの?そのせいかな?今、すごく気分がいいんだ」
「うーん・・・不思議ですね、私も気分がいいです」
「でも赤い目も綺麗だね、いつもの目の色も好きだけど」
「そうですか、時透様のお顔の模様も綺麗だと思いすよ」
この二人、今戦闘中だということを忘れてはいないだろうか?