第65話 霞の晴れた先
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「おいおい、こんなもんか?上弦の鬼ってのは存外大した事はねーんだな」
「ぐぬぬぬっ・・・!!」
五大呪術家のものとはいえ『鍛冶師』にここまで攻撃を撃ち破られるとは思っていなかった玉壺。苦悩の表情を浮かべている。
そこへ―――
「!!」
背後から鋭い攻撃がきた、笙ではない。
「何だ、遅かったなお前ら」
首を引っ込めて攻撃を回避していた玉壺とは対照的に入ってきた人物たちににこやかに話しかけている笙。
それで自分に攻撃してきたのが誰であるかを理解した、無一郎とアカリだ。
〈水獄鉢を抜けている!?〉
水の中ならば長くは保たないと考え、意識をやってはいなかったものの何故、破られたのかわからない。
しかし逆に言えばそれだけ自分は『こちら(笙と鋼鐵塚)の戦闘』に集中していたということだ、玉壺は何やら満足気にニヤつく。
しかし無一郎の顔のあるモノに目がいく。
〈ん?待て待て待て、何だ?あの痣は・・・〉
無一郎の左の額、右目下、左頬に痣が出ているのだ。
何より、意識はやっていなかったものの毒針を受けて体が麻痺している状態のはず、それであるにも関わらず水獄鉢を破壊し、自分に傷を負わせてきた。
「行くよ、アカリ」
「はい!」
二人が斬りかかってくる。
「っ!!」
―― 血鬼術・蛸壺地獄(たこつぼじごく)!!! ――
壺から無数の蛸の足が出現し、無一郎やアカリたちをからめ捕らえようとしてくる。
この分厚い足には刃毀れした無一郎の今の刀では斬れない。
「時透殿!!」
「ヒョッヒョッヒョッ!!どうだ、この蛸の肉の弾力は!これは斬れまい!」
ギチギチッ・・・
「「・・・・」」
「うぐえっ・・・」
無一郎、アカリ、鉄穴森は蛸の足に捕らわれ体を締め付けられている。
一方、鋼鐵塚はというと間一髪、笙が担いで脱出してくれたおかげでまだ研磨を続けている。
〈あの男、まだ刀を研いでいる・・・馬鹿か?真面ではない・・・それにあの権現門黒鉄家の鍛冶師も止めもせずに見ているだけ、こちらのことに見向きもしない〉
本当に集中力を乱さない鋼鐵塚に怒りを通り越して呆れてきている玉壺。
「だが、それもまた良し・・・・あの鍛冶師たちより先に柱と隊士を始末してしまおう。
先程は手を抜き過ぎた、今度は確実に潰して吸収するとしよう」
「おい、蛸鬼」
「ん?」
そこへ鋼鐵塚を見守っていた笙が声をかけてくる。
「子供だからって甘く見るなよ、今のソイツらは最高の刀を手にしている剣士だ。
手に馴染む刀と使い手が揃った剣技は如何なる強者が相手だろうが跳ね除ける」
「何を馬鹿なことを!所詮は人間の小童どもに何が――・・・・」
次の瞬間、玉壺の蛸足はバラバラに斬り落とされていた。
「!?」
「俺のために・・・刀を作ってくれて、ありがとう。鉄穴森さん」
無一郎の日輪刀の刃は白く輝いていた。