第65話 霞の晴れた先
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「神、様・・・仏・・様・・・」
「・・・・・」
有一郎の呟いている言葉がポツリポツリ聞こえてきた。
「どうか・・・どうか、弟だけは助けてください・・・。
弟は・・・俺と違う・・・心の、優しい子です・・・」
布団を自分の血で赤く染めながら有一郎は続ける、血を流し過ぎた、有一郎の命はもう限られていく。
「人の役に・・・立ちたいというのを・・・俺が、邪魔した・・・。
悪いのは・・・俺だけ、です・・・バチを当てる・・・のは、俺だけに・・・してください」
焦点が定まらなくなっていく有一郎は最後の力を振り絞って無一郎を見る。
「わかって・・・いたんだ・・・、本当は・・・」
―― 無一郎の『無』は・・・ ――
「ギイイイィィ!!」
「!」
アカリの背後から魚の鬼が襲いかかろうとする、しかし今し方、水の牢から出られたアカリは呼吸もままならない、迎撃は間に合わない。
「ギイイッ・・・・!」
「!」
「やっと・・・思い出した」
魚の鬼を斬り捨てた無一郎が立っている。
「無一郎の『無』は『無限』の『無』・・・」
霞が晴れた、有一郎はもしかしたら無一郎の『才能』に気付いていたのかもしれない。
自分の弟は『自分ではない誰かのために無限の力を出せる選ばれた人間』なのだと。
彼はそれが羨ましかったのかもしれない、自分は両親を救ってくれなかった神や仏が憎かった。
だから否定することしかできなかった、前を向くことができなかった。
強がって大人ぶってはいたものの結局は余裕がなかったのだ。
それを気づかれたくなくていつも弟に辛く当たってしまった、死にゆく最中、彼はそれをとても後悔していた。そして最期に弟の背中を押してやりたかった。
『俺の分まで生きて、人々のために自分の力を発揮してほしい』と――・・・。
「アカリっ・・・、大丈夫・・・っ?」
「は、はい・・・だい、じょうぶ・・・です・・・ありがとう・・・ございます・・・」
まず大切な人を一人、助けることが出来たことに喜ぶ無一郎。
そして小鉄のもとに駆け寄った。
「小鉄、くんっ・・・」
小鉄を抱き起して状態を確かめようとするが小鉄の手が無一郎の手を握った。
「俺は・・・大丈夫・・・。
それよりも・・・鋼鐵塚さんと・・・笙さんを・・・」
アカリも体を引きづってやってくる。
「アカリさん・・・も、早く・・・刀を・・・炭治郎さんと、霧香さんの刀を・・・守って・・・」
そう言うと小鉄の意識は無くなった。
「「・・・・・」」
二人の体中に熱い何かが駆け巡る。
――――――――――――
ギュウゥン―――・・・・ベチベチベチッ!!!
その頃、小屋の中では玉壺と笙の攻防戦が繰り広げられていた。
玉壺は何とか鋼鐵塚の集中力を切らせ、刀の研磨を止めようと攻撃してくるが笙が棍棒を使い、玉壺の水の鞭や魚の鬼を破壊してしまうのだ。