第64話 自分の力を人のために
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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〈燕薇!そんなことをすれば体に毒が早く回ってしまう!!〉
正直自力では脱出できない、でも毒を喰らっている燕薇に無理をしてほしくないと思っているアカリ。
しかし彼女の炎のおかげで水の膜が幾分か薄くなっている。
〈狙うなら、今―――・・・〉
ズプッ―――・・・
刀を水の膜から突き出した、柄に力を込めるとこたえるように燕薇の炎が巻き付く。
―― 光の呼吸・捌ノ型 『陽蜷局(ひとぐろ)』 ――
最後の呼吸を振り絞ってアカリも水の牢を斬り破る、斬ったところから水が蒸発し、脱出ができた。
「ゴホッ、ゴホッ・・・ウエッ!」
アカリは咽ながらも自分を救ってくれた燕薇の元へ這いずって行く。
「アカリ様・・・間に合って、よかった・・・」
「・・・・つっ・・」
燕薇の針だらけの姿を見て涙を溢れさせるアカリ。
「こんな姿になってまで・・・馬鹿よ、馬鹿よ!!」
「・・・・・」
燕薇はアカリの手を握った。
「今度は守れた・・・私の宝物を」
過去の自分は家族も友人も守ることが出来なかった、我を失い、領主の若君を殺し、鬼になった後は領主一族を皆殺しにした。
そして自暴自棄になった、しかし何度自決を試みても駄目だった。
もう自分に生きる理由などないのに・・・。
そんな時だ、先々代の炎羅門焔家の当主が依頼を受けて自分の前に現れたのは――・・・。
自分はようやく死ねると安堵したことを覚えている。
「お前は殺さん」
当主の言葉に燕薇は落胆した。
「今のお前は人を殺し過ぎた、このままでは家族や友人の鷹にも顔向けできないだろう」
「・・・・・」
そう言われてしまえば『是』と答えるしかなかった、何せ自分は人間であったときも鬼になった後も人を殺していた。
例え家族とマシロのところに行けたとしてもどんな顔をして会えばいい?
「お前を生かす代わりに私の頼みを聞いてほしい」
「頼み?」
「私のひ孫を守ってほしい、まだ生まれたばかりの赤ん坊だがとても可愛いんだ」
当主は兵(つわもの)の顔から家族を愛する曾祖父の顔になっていた。
「儂の使役鬼となり体を慣らし、人を喰わずに生きていけることや我が陰陽術とお前の血鬼術を合わせ寄り強固な力を与え、お前の成長させることを約束する。
その代わり、私のひ孫をその傍ら守り、見届けてくれぬか?あの子の人生を」
生きる理由を失っていた燕薇は迷わずその誘いを受けて使役鬼になった。
そして獣肉を食し、人肉を受け付けなくなった頃にアカリに会わせてもらうことができた。
その頃の彼女はとても小さく、女性であっても自分の炎で傷つけてしまわないかと思えるほど儚く見えた。でもそれ以上に愛らしく感じた。
「この子が・・・アカリ様」
「うう~~」
また自分に守るものが出来た、そして家族が出来た燕薇にとってこの上なく喜ばしい事だった。
そしてアカリの成長を見守りつつ感じたのはマシロの存在だ、雛だった頃から成長を見届けてきた感情が・・・愛情が今、感じられることができる。
自分は意に反して鬼になってしまったが今この時を後悔などしていない。そして自分のように意に反して鬼を生み出す鬼舞辻を憎んだ。
あの男を滅し、今度こそ守ってみせると固く決意したのだ。
続く