第63話 炎が舞う
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「ならば仕方がない、じわじわと干からびながらもがき死ね」
「!?」
三羽の体の温度が飛躍的に上がる。
「炎羅門鬼術――・・・『三鷹爪突(さんおうそうとつ)』」
燃えた三羽の爪が玉壺に向かって突撃してくる。
「ヒョオオォォッ!!」
ドンッ!!
硝煙が上がる、大地は灼け一部がドロドロに溶けている。
「・・・・・」
ムクリと立ち上がる燕薇、彼女の足元には玉壺の壺が底の部分だけを残して破壊されている。
「・・・・・チッ・・逃げ足の早い奴」
しかし仕留めてはいなかった、どうやら別の場所に壺があったようでそこに移動して逃げた。
グシャリと壺の残りを踏み潰す燕薇、とにかく玉壺が行方がわからない以上はアカリと無一郎を救い出す方が最優先。
燕薇が二人の元へ向かおうとした時だ。
チョロチョロ・・・ピチョンッ・・・
「!」
急に足を掴まれ引っ張られたかと思うと体に針が撃ち込まれる。
玉壺の血鬼術・千本針魚殺だ、毒針が燕薇の体にも撃ち込まれたのだ。
「くっ・・・」
「ヒョーッヒョヒョヒョッ!!!
やはり飼い犬は飼い犬よ!主人に従順!主人に忠実!主人が第一優先!」
ゴロゴロッと草陰から壺が転がって来たかと思うと玉壺が再び姿を現す。
「しかし忠犬の足を引っ張る主人とは難儀なものですなあァ」
毒針で体を引きつらせている燕薇をニヤニヤ見ている玉壺。
〈燕薇っ・・・!〉
水牢の中のアカリも負傷した燕薇に動揺する。
「・・・・っ」
「足枷があるというだけでこの様とは・・・使役鬼とは何とも哀れなものですなァ、あの御方の元で本能のままに生き、人間を喰らって力をつけておけばよかったものを」
「・・・フッ・・」
「?」
玉壺の言葉を鼻で笑って返す燕薇。
「私はお前と違い・・・『鬼』になったことを後悔している・・・。
お前などと違い、私は好んで『鬼』になったわけではない・・・」
むしろ私は――――
あの時、死んでいればよかった――
燕薇はふと昔を思い出していた、鬼になれば忘れているだろう、人間だった頃の記憶だ。
燕薇は人間として生きていたのは今(大正時代)から二百と数十年程前の時代だった。
彼女は鷹匠(たかじょう)の娘として生まれた。
鷹匠とは鷹狩(たかがり)の際に用いるタカ科の鳥類を扱う人間のことをいう。
当時の将軍や大名家が狩りの際に鷹を使用するためその世話と育成をしていたのだ。
彼女の父親や祖父が鷹の扱いに慣れており、鷹の世話をし交尾をさせて子孫を増やすという活動をしていた。
鷹たちも不思議と懐き、子供である燕薇とその兄弟たちとも仲良くなっていった。
そして世話をしていた中に燕薇と一際仲の良い鷹が一羽いた。
彼女はその鷹に『マシロ』という名を付けていた、理由は頭の羽根の色に白が混ざっていたからである、だがら茶色や黒い羽根色が多い鷹の中、マシロはすぐに見分けることができたのだ。
マシロもいつも彼女が自分をその名で呼ぶのですぐに理解したようである。そしてマシロもまた彼女に非常に懐いていた。
二人はいつも一緒、訓練の時もご飯を食べる時も寝る時も一緒だった。
両親や祖父母も『ありゃあ実の兄弟たちよりも仲が良いよ』と笑っているほど二人はいつもベッタリだったのだ。
しかしそんな二人に不幸が訪れた、彼女の家族が住んでいた領地を治めている大名の若様がたまたま鷹場にやってきた。