第63話 炎が舞う
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「『主は返してもらう』か・・・この娘がそんなに大事かえ?ヒョッヒョッヒョッ」
玉壺は水の牢に閉じ込めたアカリを見る。
「私やお前よりも遥かに弱い人間の娘、鬼の力を持ってすれば簡単に引き千切れてしまう者」
「・・・・・」
幾つもある手をウネウネと動かして燕薇をチラリ。
「分からぬな、実に分からぬ、そのような弱者を何故身を挺して守ろうとするのか?
お前がその気になればいつでも捻り潰せるだろうに。
お前のその赤い身体――・・・炎か?その熱さなら弱者を焼き払うなど造作もない」
「・・・・・」
「そうだ!私の追及する美とは違うがお前もその炎で作品を作ってみてはどうだ?
生き物を使った作品を!うん・・・いい、とても良い、名案だ!
例えば火加減をして生き物の皮膚を爛れさせ、溶けた部分に別の造形物を結合させる。
同じ部分を増やすというのも良いなあ、腕や足を足したら『花』という表現もできる・・・つっ!!」
うっとりしながら話している玉壺の壺に灼熱の飛礫が命中する。
「くだらない独り言はまだ続くのか?」
片手をゆっくりと下ろしながら告げる燕薇。
「~~~~~っ」
玉壺は欠けた自分の壺を見てワナワナ震えている。
「たかが飼い鬼の分際でっ・・・よくも私の壺を!!」
「ああ・・・申し訳ない、話が長いのでつい撃ってしまった。
いや、あまりにも愚問で下劣な独り言だったから聞くに堪えなくて、早く討ってしまいたくなった」
悪びれもせず鼻で笑い、目が据わっている燕薇。
ズプププ・・・ゴポッ!
「やはり主人が猿なら飼い鬼も猿よ、私の美的感覚がわからぬとは」
玉壺は腕から数多の新しい壺を出現させる。
「お前こそ詫びるといい」
「何?」
「アカリ様にもそうだが猿にも失礼だ、お前のような下劣に比較対象にされて――」
「ほざけっ!!」
壺から血の飛沫が燕薇に向かって放たれる。
「血鬼術――・・・『灼蜷局(しゃくとぐろ)』」
燕薇の炎を尻尾が揺らめき別れ、伸びたかと思うと血飛沫に飛びかかった。
そして蛇が巻き付くように纏わりつき、血飛沫を蒸発させてしまう。
「ヒョッ!?」
「血鬼術――・・・『蜃気楼(しんきろう)』」
燕薇が三体になって飛び上がる。
『蜃気楼』とは本来、温度の異なる大気中において高密度の冷気層と低密度の暖気層の境界で光が屈折し、遠方の景色や物体が伸びたり逆さまに見えたりする現象のことである。
炎を操る燕薇なら微妙な温度調節で幻影を見せる術もあるのだろう。
「ヒョッ!?」
上空から燕薇に狙われる玉壺、動きがあまりにも速いので体を貫かれそうになる。
「ヒエッ!!」
思わず体を縮めて壺の中に戻るが燕薇はその壺さえも破壊しようと上空から狙ってくる、まるで獲物を狙う鷹のようだ。
「ヒョッ!ヒョッ!ヒョヒョッ!!」
ゴロンゴロンと転がりながら攻撃を回避している玉壺。
「早く血鬼術を解け、そうしたら長引かせることもなく殺してやる」
「黙れっ!せっかく捕らえた材料をみすみす逃すものか!!」
あくまで拒絶する玉壺に対し、三羽の燕薇は顔を顰(しか)める。