第58話 狂喜の芸術家
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「私の大切な『作品』をっ!!よくも破壊したな小娘!!」
先程の愉悦に浸っていた表情はどこえやら―――・・・玉壺の顔は憎しみに歪んでいる。
その一瞬の隙に無一郎が今度は壺を狙い斬りかかった。
〈つっ・・・移動が早い、また逃げられた〉
屋根の上に着地をすればもう既に下に壺が現れている。
「小娘に加え、小僧まで・・・よくも私の壺を斬りましたねぇ・・・芸術を!!審美眼のない猿めが!!」
「そんな駄作を『美しい』と思える目なんかいらないわ、今後一生欲しくもない」
「フン!所詮は脳まで筋肉でできているような貴様らには私の作品を理解することはないだろう、それもまた良し!!」
玉壺は手から壺を出現させると金魚を二匹出した。
しかし鬼が使う金魚が普通なものでありはずがない。
「『血鬼術・千本針魚殺(せんぼんばりぎょさつ)!!!』」
金魚たちが頬を膨らませたと思うと大量の針を噴き出した。
無一郎は屋根から降りて攻撃を躱すが第二撃が来る、しかしそれは無一郎ではなく鉄穴森と小鉄向けて放たれている。
「わあああ!!」
「小鉄少年!」
鉄穴森は咄嗟に自分の身を挺して小鉄を守ろうとするが、いつまでたっても痛みは来ない、顔を上げると『滅』の隊服が見えた。
「と、時透殿・・・!!」
金魚から放たれた針は無一郎の体全体に無数に深く刺さっている。
「邪魔だから隠れておいて」
「あああ・・・」
「ごめんなさい、俺・・・俺・・・」
「良いから隠れてよ」
二人は罪悪感から無一郎に声をかけようとするが敵はそんな時間は与えてはくれない。
また無数の針を噴射させてくる。
「光の呼吸・陸の型 『飛来電光』!」
光の回転剣舞が針を叩き落とす。
「かわいい金魚もゲスが使えば毒フグね」
アカリが皮肉を込めて言う、その隙に鉄穴森が小鉄を抱きかかえて走り出す。
「芸術をわからぬサルが吠えるわ、ヒョッヒョッヒョッ!!
しかし柱が針だらけとは随分と滑稽な姿ですねぇ!
どうです?私の毒は?手足がじわじわと麻痺してきたでしょう?本当に滑稽だ、つまらない命を救ってつまらない場所で命を落とす」
「・・・・っ」
無一郎が玉壺の言葉に反応する、そんな言葉を前にも聞いたような気がしたからだ。
『いてもいなくても変わらないようなつまらねぇ命なんだからよ』
「黙れ・・・」
するとアカリの声が低くなる。
「命の尊さの何たるかを知らない悪鬼が・・・これ以上、命について口にするんじゃないわよ」
「ヒョッヒョッ!粋がるな小娘、その小僧は一応柱ですからね。お前共々どんな作品にしてやろうか―――・・・今から考えるだけで胸が躍る!!」
「「・・・・・」」
すると無一郎とアカリが二人で一気に距離を詰めた。
「うるさい・・・つまらないのは君のお喋りだろ」
「つっ!」
二人がそれぞれ片側から玉壺の頸を切断しようとする。
しかし玉壺は再び新しい壺を生み出した、その壺から水が放出される。
「っ!燕薇!」
アカリは直感的に危機を感じて使役鬼の燕薇(えんび)を呼び出した。
そしてその直感は当たった、無一郎とアカリは水の玉の中に閉じ込められてしまったのだ。
「血鬼術・水獄鉢(すいごくばち)――・・・ヒョッヒョッヒョッ」
二つの水牢を見てニヤニヤと笑う玉壺。
「窒息死は乙なものだ、美しい。そして頸に刃を当てられてヒヤリとする感じ、これはとてもいい・・・」
「つっ!?アカリ様!!」
燕薇に気付いてウネウネと体を捻る玉壺。
「ふ~む・・・おお、そうか。
お前があの方の言っていた陰陽師の飼い鬼か、ならばこの娘・・・五大呪術家の血筋」
アカリの事を見てさらに不敵に笑う玉壺。
「これはいい!!五大呪術家の者が私の『作品』になれば二つとない傑作ができる!いっそのこと柱と一緒に番いの作品にしてやろうか!!ヒョッヒョッヒョッ!!」
「つっ」
無一郎が水牢を破ろうと刀を突き出すが水の壁は柔らかく貫くことが出来ない。
アカリも同様、体にまとわりついてくるようなものを感じる、非常に気持ちが悪い。