第58話 狂喜の芸術家
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「「・・・・・」」
「「!?」」
「ヒョッヒョッ、初めまして――、私は玉壺と申す者」
本来口となる場所には目玉があり『伍』の文字が記されており。本来目の場所には分厚い唇があり、舌を出しながら話をしている。
そひて額には『上弦』とある、それだけでこいつが『上弦の伍の鬼』であることを理解するのは事足りた。
「殺す前に――・・・少々よろしいか?
今宵、あなた方に是非とも私の作品を見ていただきたい!」
「・・・・作品?何を言ってるのかな?」
「・・・・・」
無一郎もアカリもいつでも斬りかかれるように切っ先を向ける。
「ではまずこちら!」
『パンパン!』と玉壺が手を鳴らすとどこからともなく壺がもう一つ現れる。
そして『ゴポッ!』と嫌な音をさせながら中からヤツの言っていた『作品』が飛び出した。
「題して『鍛人(かぬち)の断末魔』でございます!!」
「「!!」」
『作品』を見た鉄穴森と小鉄の顔は驚愕した、何せその『作品』に使われているのは自分の同郷の人間、親類縁者だったからである。
「ご覧ください、まずこの手!刀鍛冶特有の分厚い豆だらけの汚い手をあえて!私は前面に押し出しております!!」
そんな二人の反応を無視し、玉壺は『作品』の説明を始める。
「金剛寺殿・・・鉄尾さん・・・、鉄池さん・・・、鋼太郎・・・」
割れた火男の仮面の下の顔と見覚えのある着物で使われている者たちが誰であるのかが分かったのだろう。
鉄穴森が名前を呼んでいく、そして小鉄の目からは涙が溢れる。
「あああ・・・鉄広叔父さんっ・・・!!」
その中には小鉄の身内も含まれていたのだ。
「そう!仰る通り!この作品には五人の刀鍛冶を贅沢に!!ふんだんに使っているんですよ!!それほどまでに感動して!!」
何を勘違いしたのか小鉄の涙を自分の『作品』に対して感動したものだと解釈した玉壺。
「しかし感動をするのはこれから!さらに刀を刺すことにより『鍛人(かぬち)らしさ』を強調しております!
この火男の面も無表情や不条理を表現するために残しました、こちらももちろんあえて・・・意図してです!!
そして極めつけはこれ!!」
玉壺が『作品』に刺さっている刀の柄を持って捻ると・・・。
「ギャアアア!!」
『作品』が悲鳴を上げた、これが『断末魔』ということだろうか。
「うわああ!!やめろ―――っ!!」
飛び出そうとする小鉄を鉄穴森が抱き留める、彼も見るに堪えないだろう、首まで血の気が引いている。
「ヒョッヒョッ!どうですか?素晴らしいでしょう?断末魔を再現するのです!!」
自分の『作品』を見せることができて狂喜乱舞している玉壺、だがそこへ低い声が放たれた。
「おい、いい加減にしろよクソ野郎が」
無一郎が玉壺に斬りかかった。
「ヒョッ!?」
玉壺は頸を壺に引っ込めた、そして気づけば小屋の屋根に壺があり、その中から声がする。
「まだ『作品』の説明は終わってない!」
「する必要ないわよ」
「!」
ガシャンッ!!
「!」
アカリが『作品』の壺を叩き割った。
「胸糞悪いわ、こんなもの」
壺を破壊したことにより『作品』となっていた鍛冶師たちは血だまりの中に横たわる。
「人の命を奪い、尚且つそれを『芸術品』にするなんて――・・・胸糞悪い最低最悪の造形物でしかないわ」
屋根の上にいる玉壺を睨むアカリ、その目は霧香が妖化の初期段階の時と同じものだ。しかし違うのは燃えるように赤い瞳であること。彼女もまた内なる古の血が沸き上がり始めているのだろう。