第56話 霞の中で
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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『君は必ず自分を取り戻せる、無一郎』
その時、無一郎の頭の中に輝哉の声が聞こえる。
それは三年前に満身創痍な自分が産屋敷家に助けられた時にかけてくれた言葉だ。
『混乱しているだろうが今は、とにかく生きることだけ考えなさい。
生きてさえいればどうにかなる。
失った記憶は必ず戻る、心配はいらない』
目覚めてから朦朧としている状態で無一郎はただ輝哉の言葉を聞いていた。
『きっかけを見落とさないことだ。
ささいな事柄が始まりとなり、君の頭の中の霞を鮮やかに晴らしてくれるよ』
その言葉を思い出した後、無一郎の行動は早かった。
小鉄を抱えて鋼鐵塚と笙のいるあばら屋に向かって駆け出していた。
「うわああ!!ちょっちょ・・・!!
もうちょっとゆっくりで!!あともうちょっとだけ!!」
柱の脚力が速すぎてついて行けない。
「喋ってると舌噛むよ」
小鉄の懇願も虚しく速さを緩めることはしない無一郎。
「時透様」
「?」
「よろしかったんですか?私だけでも・・・迷われているんでしょう?柱であるならば里全体を救出する方が優先だと」
「ううん、いいんだ」
アカリのいう事にもあるが無一郎はある確信があった。
自分は初めて『誰かのために何かをしようとしている』、それを成しえた時、何かを思い出せそうなのだ。
〈僕はできる、僕はお館様に認められた鬼殺隊霞柱・時透無一郎だから〉
続く