第54話 臆病鬼
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「!」
敵の鬼を目の前にして禰豆子の体が変化している。
「禰豆子!!その姿にはなるな!!」
「!」
炭治郎が制止したのと無一郎が老人鬼の頸を斬ったのは同時だった。
「ヒイイイッ、斬られたああッ!」
速い、さすが柱というところか。
しかし上弦の鬼に至っては『ただ頸を斬れば倒せる』というわけではない。
以前戦った上弦の陸の堕姫と妓夫太郎、彼らは二体一対の鬼であったため二人分の頸を斬り落とさなければならなかった。
それほど上弦の鬼は倒す条件が特別な場合がある。
「時透様、お気を付けください!上弦の鬼はただ頸を斬っただけでは倒せません!」
「!」
霧香の言葉を聞いたのも束の間、切り落とされた頸には胴体が、残った胴体には首がそれぞれ生え始めた。
〈分裂・・・コイツも二体一対なのか〉
いくら柱でも上弦の鬼、二体は厳しい。
霧香と炭治郎はすぐに加勢に入ろうとしたが首から胴体が生えた鬼の方が葉団扇を取り出すと軽く振り下ろした。
バギャッ
「!」
「禰豆子・・・!!」
葉団扇の風は突風となり無一郎を建物の外の彼方に吹き飛ばしてしまった。
炭治郎は禰豆子が崩れた壁面を掴んで助けてくれたので吹き飛ばされずに済んだ。
霧香も畳に刀を突き立て、突風を凌いでいる。
「カカカッ!」
葉団扇の鬼が愉快そうに笑っている。
「楽しいのう、豆粒が遠くまでよく飛んだ・・・なあ、積怒」
もう片方の錫杖を持った鬼に話しかけたが相方は怒気を孕んだ表情のまま睨みつけてくる。
「何も楽しくはない、儂はただひたすら腹立たしい、可楽・・・お前と混ざっていたこともな」
「そうかい、離れられて良かったのう」
そう言った葉団扇天狗の舌には『楽』の文字がある。
〈これは堕姫と妓夫太郎よりも苦労するかもしれない・・・〉
分裂するならば各々の頸を斬り落とす手段を取るだけだが、しかし舌の文字がどうしても気にかかる。
はたしてこの鬼は『分裂する』だけなのか?
霧香のこの不安はもう少し後に現実の物になるのだった。
続く